文春e-book<br> 武漢病毒襲来

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文春e-book
武漢病毒襲来

  • ISBN:9784163914145

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内容説明

妻子の待つ武漢へ、新型肺炎が蔓延し封鎖された中国をゆく男の決死行。
中国からの亡命を余儀なくされた作家が放つ渾身のコロナ文学。

本書は2通りの読み方ができます。まず、新型コロナ発生源となった中国で何が起きていたかを描くものとして――
反骨の亡命文学者が、コロナ禍下の民衆の悲劇と、それを隠蔽する国家の罪を暴く告発の書として。そしてまた、
いち早くコロナ禍に正面から挑んだ現代小説として――封鎖された大地を旅する艾丁を通じて、現在の「中国」が、
スリリングに、ときに大らかに描かれてゆきます。病毒の街・武漢で、艾丁を待ちうける運命とは……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

keroppi

79
図書館の新刊図書にあったので読んでみた。天安門事件を告発する長詩を発表し、逮捕され獄中生活を送った著者は、2011年にドイツに亡命。この本もドイツで書かれたことになる。フィクションではあるが、中国政府を告発する内容になっていて、概ね事実は近いのではないかと思う。ドイツからどのように現地の情報を得たのだろうかという疑問は残る。昨年の初め頃、YouTubeから流れ出る武漢の悲惨な状況を思い出す。まさか、日本が今のような状態になるなんて、その時は想像だにしなかった。2021/09/13

マイケル

13
武漢ウィルスの起源は? 都市封鎖での住民の生活はどうだったのか? 著者は知らなかったが、訳者が産経新聞出身で以前色々読んだことがある福島香織となっていたので読み始めた小説。訳者あとがきに書かれているように検閲対策として限りなくノンフィクションに近いディストピア小説。武漢で最初の患者が出た場所近くには蝙蝠のウィルス研究所があったが当局が否定するように本当に関係無いのかという謎。蝙蝠を食べたせい? 生物兵器製造中だったのかもしれない。都合の悪いことは隠蔽して表に出てこない。歴史の改竄は昔から当たり前の社会。2023/12/16

羊山羊

13
方方「武漢日記」の外側はどうなっていたのだろう?その答えの一端が本著にある。武漢の封鎖に絶望し、身投げする人々、新コロに感染し、突如倒れて動かなくなる人々、川を流れる死体、死体運搬車にぎゅうぎゅうに詰められて尚まだ処理しきれない量の死者。本著はあまりにも大量の死で満ちていて、その中を家族の元に急ぐ主人公艾丁。ノンフィクション・ロードノベルの形を取りながら、無法都市と化した武漢周辺とその対極にある監視国家としての両面を見事に活写して見せた1冊。2022/03/06

robamimim

6
猛烈な発展を続ける中国、そこで新型コロナー武漢病毒が作り出されたという説をあくまでフィクションとして展開する。著者は中国ににらまれて亡命した方。命がけで武漢の闇を暴き出す勇気ある人に光をあてる。そしてロックダウンのすさまじさ。民衆をかえりみないロックダウンでは弱者はたやすく死に追いやられる。社会主義はいったいどこに行ったのだろう。この本がどこまでフィクションでノンフィクションかもわからない。上海から漏れる様子で答え合わせをしている気分だ。2022/05/03

冬薔薇

6
新型コロナウィルス発生時の中国の状況をフィクションという形で描いたもの。「彼らはみんな逝ってしまった」という詩に私も涙を流した。2021/12/24

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