内容説明
ラクダのこぶ、サソリ、ウマのたてがみから、土のスープ、樹液、みかんご飯、甘口イチゴスパ、そして紙、蚊の目玉のスープまで。伝統食品あり幻の珍グルメあり。「奇食とは、人間世界の謎を開ける鍵なのだ」という著者の、悶絶必至、味の大冒険。人間の業の深さを実感する珍グルメ全集。文庫化にあたり、パンカツ、トド、イソギンチャク、蘇など8品を増補。全56品。
目次
はじめに…奇食は美食なり
第1章 奇食への招待状
第2章 伝統の奇食
フグの卵巣の糠漬け 猛毒を食べる文化(石川県)
漬物ステーキ これぞ純和風ステーキ(岐阜県飛 地方)
サンショウウオ 大食通・魯山人も絶賛(福島県檜枝岐村)
おたぐり 「糞の味」の魔力(長野県伊那地方)
イルカ かわいい動物を食べていいのか?(静岡県伊豆地方)
なれずし 三十年熟成の妙味(和歌山県新宮市)
ツキノワグマ 獣肉界の勇者(東京都)
メダカの佃煮 雪国の郷愁(新潟県)
酒ずし 仕込み方に秘密あり(鹿児島県)
ヘビ 幻のヘビ飯を求めて(中国)
ザザムシ・ハチの子 人はなぜ虫を食べないのか(長野県伊那地方)
ウマのたてがみ 本当に食べられるのか(熊本県)
クジラ 日本の伝統食ではない?(日本各地)
ウサギ 「一羽、二羽」と数えるわけは(ヨーロッパ)
サボテン 生食よし加熱してよし(メキシコ)
カンガルー クジラとどちらがおいしいか(オーストラリア)
鶏のとさか 王妃も愛した媚薬(フランス)
サソリ 毒をもつ生き物の底力(中国)
ザリガニ エビとカニの中間の風味(世界各地)
土 正常なのか異常なのか(世界各地)
カエル 名コックの策略(世界各地)
第3章 奇食界のニューウェーブ
みかんご飯 ポンジュースで炊こう(愛媛県)
サラダパン たくあん入りの洒落たやつ(滋賀県湖北地方)
甘口イチゴスパ 中京奇食界の最高峰(名古屋市)
味噌カレー牛乳ラーメン 辛さと優しさのせめぎ合い(青森市)
いちごシロップもんじゃ 子供の前衛的実験料理(群馬県伊勢崎市)
パイナップル茶漬け 和洋折衷の極北をいく(愛知県一宮市)
ブラックバス 湖のギャングを食い尽くせ(滋賀県草津市)
ゼリーフライ 謎が渦巻くローカルフード(埼玉県行田市)
シュールストレミング 世界で一番臭い食べ物(スウェーデン)
第4章 めずらしい飲み物
樹液 木々の生命をいただく(北海道美深町)
イカスミジュース 飲んではいけないものを飲む(名古屋市)
カレーラムネ・わさびらむね インド人もビックリ(静岡県)
アブサン 幻覚を呼ぶ「飲む大麻」(スイス・フランス・ドイツ)
第5章 不思議なデザート
ふなずしパイ 「夜のお菓子」のホープ(滋賀県守山市)
まんじゅうの天ぷら もったいない! の精華(福島県会津地方)
みそカツ丼アイス・親子丼アイス 本物の肉で勝負(名古屋市)
納豆コーヒーゼリーサンド 超現実的なカオス(三重県鈴鹿市)
バクラヴァ 地球で最も甘い菓子(トルコ)
サルミアッキ 世界一まずい飴か?(フィンランド)
ハチの巣 人類最古の菓子(ニュージーランド)
第6章 幻の珍グルメ
紙 味噌汁の具にどうぞ(日本)
毒キノコ 不思議の国のアリスもお気に入り(長野県・宮城県)
トラ 加藤清正はなぜ狩りをした?(日本・中国)
ラクダのこぶ 満漢全席の片鱗へ(中国)
キビヤック 鳥の肛門から液を吸い出す(北極圏)
蚊の目玉のスープ 地上に実在するのか(中国)
人魚 不老長寿の薬(世界各地)
第7章 文庫版増補
パンカツ 炭水化物道を極めよ(東京都)
トド この世の不条理を喰らえ(北海道)
ソテツ 地獄を呼び起こす植物?(南西諸島・ポリネシア)
カメノテ 怪獣の手か?(スペイン・日本)
イソギンチャク 若い男の○○○?(スペイン・有明海)
ワラスボ 海からやって来たエイリアン?(有明海)
蘇 古代の乳製品(日本)
イヌ 日本の伝統食か? (アジア・ヨーロッパ・アフリカ)
おわりに…奇食は世界を動かす
文庫版のための後書き
奇食セレクト95
主要参考文献
解説 宮田珠己