内容説明
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
神田川祭りの中をながれけり
なにがうそでなにがほんとの寒さかな
小説家・劇作家として大成した万太郎は、10代より亡くなる直前まで、俳句を作り続けた「文人俳句」の代表的俳人でもあった。本書は、万太郎が創刊・主宰した俳誌「春燈」の継承者が、その俳句の魅力と技術、交友関係までを哀惜と畏敬の念を込めて綴った名著であり、万太郎俳句のすぐれた入門書でもある。俳人協会評論賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
22
久保田万太郎は小説・戯曲でも活躍したが、一番評価が高いのは俳人としてだという。万太郎の弟子で「春燈」を主宰した著者による本で、万太郎俳句の特徴、人生、交友関係(芥川龍之介、室生犀星ら)について知ることができた。万太郎は「見なくちゃ作っちゃいけませんか」という発言を戦後に住んだ鎌倉でしている。写生の俳句ではなく、心境の俳句を作った。彼にとっては、(小説などが建前であったのに対して)俳句は本音を出せるものであり、「心境小説の素」だった。芥川とは親友のような関係であった。晩年に一人息子に先立たれている。→ 2025/07/12
Eleanor
0
死ぬほどテレ性なのがよく伝わってくる。 吟行にて見てないものでもバンバン句に入れてるのもぐっど。私も赤貝を喉に詰まらせて死にたい。2023/08/06
natsumi
0
「絢爛たる枯淡」と評された万太郎の句の世界。冒頭の評論がとにかく素晴らしく、一俳人の人生を感じながら作品を鑑賞する妙のすべてが詰まっている。いのちのはてのうすあかり。2021/12/14




