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内容説明
「関東大震災における朝鮮人虐殺はなかった/少なかった」「正当な自衛行為だった」。学術的には顧みられることがなかったこのような「虐殺否定」論が論文となり、ケンブリッジ大学出版局刊行の書籍に収録される予定があった。執筆者はハーバード大学教授。論文を読み進めてみると、主張の根拠とされているのは当時の日本の新聞だった。震災直後の混乱のなかで紙面に躍ったフェイクニュースは、なぜ、どのように生まれたのか。長年新聞社に勤めた著者が、報道の責任を総括する。
目次
はじめに
第一章 ラムザイヤー教授の論文を読む
1 治安という正常財
論文の要旨
治安サービスを考える枠組み
関東大震災における民間の治安維持
新聞報道を論拠に
2 朝鮮人犯罪の検討
朝鮮人による犯罪規模の推定
報道から公的文書まで
虐殺された人数
扇情主義の新聞
推計をめぐる問題
「二人より多く一万人よりは少ない」
結論「四〇〇人より多く五一〇〇人より少ない」
3 戦後日本の警備産業
戦後の朝鮮人による暴動を強調
民間警備産業の発展
明白な力点
第二章 論拠の資料を確認する
1 犯罪はなかったとする資料
二〇〇八年中央防災会議の報告書
朝鮮人の犯罪だと認められたものはない
2 ラムザイヤー教授が論拠とする資料
朝鮮総督府の資料
弱い根拠
「放火は一件もなかった」
第三章 論拠の新聞記事を読む
1 「朝鮮人の暴徒」報道
早川東朝社員甲府特電
なぜ記事になったのか
軍の電文をそのまま報道
九月四日時点の報道
2 碓氷峠の爆弾テロ計画
九月四日名古屋新聞
鉄道が情報源に
(長野)の意味すること
鉄道周辺の環境
記事が生まれた背景
第四章 一〇月二〇日前後の新聞記事
1 朝鮮人にかかわる報道解禁
箇条書きで二三の犯罪
二段階の報道解禁
治安当局は流言と認識
本格化した自警団の摘発
2 市民の反応
憲法学者上杉慎吉の批判
社説に見える新聞の苦渋
黒龍会による「自衛」という主張
3 政府の圧力で生まれた虚報
一〇月二〇日の号外
外交問題に発展
朴烈事件の不思議な号外
九州日報の報道
関東自警同盟による自警団擁護
『誤報とその責任』
第五章 東京大学新聞研究所の研究
1 戦後の研究
改訂された論文
定量的な分析
群を抜いて多い河北新報
「朝鮮人が暴行」が四三・九%
2 引用された河北新報記事
避難民の体験談
「不穏記号」とされた目印
燃え立つ復讐心
山県有朋首相の邸宅
3 報道が増えた理由
そろっていた条件
第二師団の動き
高くなかった社会の関心
第六章 虐殺はなぜ起きたのか
1 虐殺の実像
軍や警察から奪って殺害
「あんな惨ごいのは始めてだ」
精神異常が原因なのか
流言の何に怖れたのか
各地で奪われた武器
2 帰還兵たちの経験
体験を封じ込める仕組み
震災一周年
「虐殺否定」論の正体
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
Satoshi
jamko
二人娘の父
紫草
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