ちくま新書<br> 民主党政権 未完の日本改革

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ちくま新書
民主党政権 未完の日本改革

  • 著者名:菅直人【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2021/08発売)
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  • ISBN:9784480074225

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内容説明

2009年8月の総選挙でマニフェストを掲げて自民党を倒して誕生した民主党政権。子ども手当、高校無償化、介護保険制度の充実をはじめ、福祉、教育、子育て、雇用などの分野で多くの政策を実現した。その足跡は本当に失敗だったのか。原発事故対応は現在では評価されており、政治主導に向けた諸改革、福祉政策など多くは現在も引き継がれている。民主党政権の政策を検証しなおすとともに、その後の自民党政治も検証し、未完の日本改革をリベラル勢力復活に向けて掲げ直す。

目次

はじめに
序章 マニフェストは失敗ではない
マニフェストで政権を得た
達成率七四・八パーセント
マニフェスト――実現を困難にした理由
G7で財政健全化の重要性を再認識
参院選のマニフェスト
マニフェスト後遺症からの脱却を
第一章 政治主導の実現――自民党政権とは異なる政権運営
政治主導とは
政策決定の一元化
内閣と党
大臣・副大臣・政務官チーム
鳩山内閣の五原則・五策
国家戦略室
国家戦略室の構想変更
事務次官会議廃止
閣僚委員会の活用
政務三役による政治主導
政府に入る国会議員の増員
第二章 民主党政権の危機管理
1 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故
「最悪の事態」を想定
震災直後
緊急災害対策本部設置
福島第一原発への視察
自衛隊一〇万人
被災者の視点に立った情報発信
「やり過ぎてもいい」と避難指示を決断
東電の原発撤退を阻止した理由
統合対策本部
テレビ会議システムの存在も教えない
「官邸の介入」は過剰だったのか
震災対応の組織構成
第一次補正予算、第二次補正予算
危機管理の要諦①――「最悪」を常に想定する
危機管理の要諦②――責任を持ち「決断」する
国会で菅義偉首相の危機意識を質す
野党の協力
原発事故を二度と起こさないために
コラム1「国難」に対峙した官房長官、副長官、経産大臣、国対委員長
コラム2女性議員たち
コラム3ベテラン政治家たち
2 尖閣諸島中国漁船衝突事件
船長釈放に「弱腰」批判
「逮捕後」の対処方針がなかった
尖閣危機は安保条約の適用対象か
東京都が購入するか国有化するか
3 日本航空の破綻処理
自民党政権のスキームを「ちゃぶ台返し」
政治主導で「法的整理」
第三章 達成された政策
1 税金の使いみちを変える――行政刷新会議の成果
画期的だった「事業仕分け」
「二位じゃだめなんですか」発言
独立行政法人・政府系公益法人の仕分け
行政事業レビュー
未完の行政改革
2 外務省の密約を調査・発見――政権交代が可能にした情報公開
「大臣から指示を受けたのは初めてです」
大臣の調査命令
外務省の調査チーム
財務省も協力する
調査結果に関する財務大臣談話
情報公開ルールを
3 子どもを社会全体で育てる――子ども手当・高校無償化の実現
子ども手当
介護保険制度を思い出す
子ども手当の理念
「子ども手当」のその後
待機児童解消
高校無償化
大学生のための奨学金制度
子ども家庭省の設置
4 脱原発、再生可能エネルギーの普及――エネルギー政策の大転換
原発事故後のエネルギー政策の大転換
原子力行政改革
再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(FIT)の導入
原発「四〇年ルール」
二〇三〇年代に原発ゼロにする「革新的エネルギー・環境戦略」の策定
5 現実主義的外交――菅かん政権での外交実績
現実主義外交
韓国との未来志向の関係強化
第四回 日中韓サミット
ロシアとの関係強化
経済外交の推進
開国と絆
6 暮らしと働く人を守る――年金・医療・雇用の改革
一三〇〇万人の年金記録を回復
年金制度の抜本的改革
新型インフルエンザ対策
肝炎患者の支援
すべての労働者を雇用保険の被保険者に
派遣労働者の雇用の安定
7 農業を再生――戸別所得補償制度の創設
8 国と地方自治体との関係を変える――地域主権の確立
地域主権戦略会議
国と地方の協議の場を法律で設置
「ひもつき補助金」廃止、地方公共団体が自由に使える「一括交付金」創設
9 マニフェストにない項目
硫黄島からの遺骨返還
経済・財政・社会保障の一体的改革
「第三の道」――成長と雇用による国づくり
「新成長戦略」
二一世紀型の成長モデルへの転換
諫早湾の開門
市民運動代表と野田首相が首相官邸で面談
第四章 実現できなかった政策
1 普天間基地移設問題
マニフェストになかった「県外移設」
自民党の「負の遺産」と向き合う
2 ガソリンの暫定税率の廃止
3 高速道路の無料化
4 八ッ場ダム
第五章 政権への道、再び
1 民主党は本当に「惨敗」したのか
比例代表の得票差は大きくない
選挙制度と「第三極」で惨敗イメージが増大
「維新」を上回った意味
2 野党「どん底」の二〇一三、一四年
東京選挙区で共倒れとなった二〇一三年参院選
二〇一四年衆議院総選挙
3 「市民との共同」の始まり
「安保法制反対」での若い世代との連携
潮目が変わる
枝野幸男氏の長時間演説
4 野党「再編」の始まり
「候補者一本化」の効果
小池ショック
民進党分裂、立憲民主党結党
二〇一七年衆院選での躍進
5 「一強多弱」の国会で成果
「裁量労働制拡大」法案から削除
民間英語試験、撤回へ
「桜を見る会」問題で安倍首相を追い詰める
検察庁法改正案の廃案
6 そして「政権選択」選挙へ
新型コロナウイルス感染症への対応
新しい立憲民主党の結党
暗黒政権に終止符を
あとがき
関連年表
閣僚一覧
党役職一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nishiyan

12
2009年8月に誕生した民主党政権。悪夢や失敗と共に語られることの多い、その3年3ヶ月を当事者である菅直人元首相が徹底検証した本書。自公政権に代わった現在も受け継がれた諸政策の検討とともに普天間基地移設などの解決できなかった諸問題、東日本大震災、原発事故、尖閣諸島問題といった内容にも触れている。安倍、菅内閣では~と自公政権への批判をオチとして使うといった記述が目立つのが残念。第5章での東京選挙区での民主党候補共倒れの記述に至っては…。検証本としてはイマイチな内容であり、菅元首相の私怨が漂うばかりだった。2021/08/20

晩鳥

2
菅直人元総理が民主党政権及びその後の安倍・菅政権について検証した本。民主党政権の成果、良かった点が多く書かれているが、自民党の人が書けば自民党の成果を主張するだろうし、そういったものだと思って読むのがよいと思う。序盤に「悪夢の民主党政権」という言葉について書かれているが、自民党の「悪夢の民主党政権」という批判の仕方はあまりにも品がなくて嫌いだ。 良い政治には強い野党が必要だと思っているので、旧民主党系政党には頑張っていただきたい。2023/07/29

代理

1
今の野党と自民党が対話する必要があるかと思うと微妙。『当事者』からはこう世界が見えるのかと驚愕する。密約発掘に投じるエネルギーをなぜ基地移設の方に向けなかったのか。なんにせよ、『未完』で良かった2022/06/25

森田健作

1
東日本大地震がなければ民主党政権への評価も異なっていたのかな?2021/12/18

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