内容説明
美しく驕慢な女に無条件でひれふす男達の姿は宗教的法悦境にあるかのよう。絢爛な文体と鮮やかな風俗描写、小説の神髄に酔いしれる。
※この電子書籍は1966年4月に文藝春秋より刊行された『現代日本文学館 16 谷崎潤一郎 I 』に収録された作品の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
53
艶かしい美文で描かれる世界を堪能しました。揺るがぬ美意識と性癖が世間に問題視されていたかもしれませんが、谷崎は自らの作風を貫いていたのだと思えてなりません。2023/02/06
優希
53
耽美で艶やかな世界に浸ることができました。どの作品も美意識から世に問いかけている問題作だと思います。そしてやはり『痴人の愛』にハマりました。自分好みの女にするはずが、掌で転がされているような様子が問題作としての風景を見せてきます。傑作揃いの1冊を堪能しました。2022/04/11
優希
43
耽美で艶かしい世界に浸っているのが心地良かったです。美意識を揺るがすことなく、問題作を発表し続けた谷崎。だからこそゾクゾクさせられるのですね。傑作揃いです。2023/11/17
そふぃあ
28
「痴人の愛」は読んでて何だか腹が立った。ナオミの奔放さにもだけど、主人公の曖昧でなよなよした態度が特に。しかし湯水の如く散財するナオミを養うだけの甲斐性があるのだけは、主人公はかなりすごい。二人の関係性は現代で言うところのパパ活女子やいただき女子を連想させた。「春琴抄」に関しては紛れもない傑作と思う。内容も倒錯的だが、文体も句読点を極力排した変態的なものでしかし不思議と読みやすく、文豪の非凡さを感じた。翻訳するのは非常に大変だろうと思う。2024/01/21
不見木 叫
19
「痴人の愛」はナオミの魔性に目が行くがその実主人公の方に狂気を感じる幕引きが良い。『春琴抄』は献身を超えた情念に恐怖すら覚える。2023/10/11
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