中公文庫<br> 昼も夜も彷徨え マイモニデス物語

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中公文庫
昼も夜も彷徨え マイモニデス物語

  • 著者名:中村小夜【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2021/07発売)
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  • ISBN:9784122065253

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内容説明

イスラーム教徒とキリスト教徒が抗争する十二世紀の地中海。勢力を広げるムワッヒド朝が突きつけた「改宗か死か」。神を求める人間の葛藤、迷い、失望と愛憎。マイモニデスはスペインからエジプトへと異郷を放浪しながら、言葉の力で迫害に抵抗し、人々に生きる勇気を与える。史実に基づき、中世最大のユダヤ思想家の波乱の生涯を描く歴史物語。



序 章

第一章  背教者

第二章  書状の決闘

第三章  ミルトスの庭

第四章  フスタート炎上

第五章  死者の町

第六章  王者と賢者

終 章

あとがき/表記上の注記/引用出典/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

66
中世のユダヤ社会に彗星のごとく現れたユダヤ史上最大の思想家、モーセ・ベン・マイモン、ラテン語名マイモニデス。少年の頃から学識のあるラビたちにさえ自分の考えを真っ向からぶつけ一歩も譲らなかった彼は、自分の意志が強いだけではなく、彼のように強くなれない信者、彼のような特権階級にない弱い立場の信者に常に寄り添う考え方をした。最高の医者でありセラピストであり、偉大な思想家。彼の生き方考え方は、どんな時代の、どんな宗教を信じる人にも通じる、普遍的なものだ。彼の生き方に打たれ、なにより、作者の彼への敬意を強く感じた。2018/05/04

rosetta

13
★★★★☆12世紀のユダヤ学者モーセ・ベン・マイモンの物語。ラテン語表記でマイモニデス。7代続くアンダルシアの律法学者の家系に生まれ迫害を逃れてマグリブからエルサレム、エジプトに。当時としても最高の学者であったが後に残した影響の大きさは計り知れない。とか言いながら自分も初めて知ったのだが。信仰と知性のせめぎあいでは知性に重きを置くと言う自分好みの、しかし中世ではあり得ないほど珍しい学者。これがイスラム世界ではなくヨーロッパだったら異端として粛清されていただろう。ルネサンスの先駆けと言っていい。2018/04/23

さえきかずひこ

11
12世紀、今のスペインからエジプトまでの拡がりをもつイスラーム世界を流浪したユダヤの思索者、マイモニデスを題にとった知的な娯楽小説。彼の思想的なインパクトやユダヤ教の細かな点には立ち入らずあくまでも彼とその周辺人物たちが広大な空間を舞台に動き回る冒険活劇として分かりやすく楽しく仕上げている。題材が特殊なので大人気を博すことはないだろうがシーンの書き分けが著者がコピーライターゆえかよくできているのでアニメ化にも適したシナリオのような作品だと感じた。第6章はとても読みごたえがあって伏線もきれいに回収されます。2020/11/28

いとう・しんご

8
読友さんきっかけ。表紙がダサいけど、内容はとんでもなく濃厚。中世哲学史をやった人にはよく知られているマイモニデスについて、まぁ、よく調べて綿密な小説に仕上げています。単なる波瀾万丈の物語ではなくて、一人の優れた人物造形として出色の、絶対オススメの本でした。2024/07/25

月華

5
図書館 最初は堅苦しいお話かと思いましたが、思っていたより読みやすかったです。タイトルの『昼も夜も彷徨え』は内容を全て現しているように思いました。この言葉はマイモニデスの言葉との事です。著者はこの言葉をきっかけにお話を考え始めたそうです。モーセとダビデの関係はゴッホとテオをなんとなく思い出しました。女性陣が総じて精神的に強いように思いました。「真実は美しい。しかし嘘もまた」という言葉があるそうです。史実をもとにしつつ、物語だということで、あとがきに引用されていました。 2018/03/03

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