ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう - 意識のハード・プロブレムに挑む

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ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう - 意識のハード・プロブレムに挑む

  • 著者名:鈴木貴之
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 勁草書房(2021/08発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326154340

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内容説明

意識という現象を自然科学的な枠組みで理解することは可能か。「物理主義」「自然主義」「クオリア」「意識の表象理論」「志向説」とはなにか。本書は、これまで多くの哲学者や科学者が「意識のハードプロブレム」といわれる難問を解決するべく打ち立ててきた理論を解説、批判的に検討し、そのうえで新たな理論を提案する。

目次

まえがき
序論

第1章 意識のハード・プロブレム――特別な難問
 第1節 物理主義――問題の背景
 第2節 なぜ意識の問題は特別な難問なのか

第2章 意識のハード・プロブレムは解決不可能か
 第1節 思考可能性論証――ハード・プロブレムは解決不可能?
 第2節 新神秘主義――ハード・プロブレムは人間には解決不可能?
 第3節 タイプB物理主義――ハード・プロブレムは解決不要?

第3章 意識の表象理論――もっとも有望な理論
 第1節 クオリアにかんする志向説――クオリアとはなにか
 第2節 志向説を一般化する――意識経験は知覚経験である
 第3節 さらなる反例に対処する
 第4節 意識経験の一般的特徴を説明する

第4章 意識の表象理論の問題点
 第1節 意識経験と表象の関係――表象が意識経験となるには
 第2節 物理的性質と経験される性質の関係――色は表面反射特性か
 第3節 意識経験の実在性――なぜそこにないものが見えるのか

現在地点の確認

第5章 本来的志向性の自然化――表象とはなにか、もう一度考えてみる
 第1節 自然主義的な志向性理論――いかにしてあるものは別のものを表すことができるのか
 第2節 本来的志向性と派生的志向性――意識経験と文や絵の違い
 第3節 本来的表象の自然化(その1)――なにが本来的表象なのか
 第4節 本来的表象の自然化(その2)――本来的表象はなにを表象しているのか

第6章 ミニマルな表象理論――意識と表象の本当の関係
 第1節 ミニマルな表象理論――本来的表象は意識経験である
 第2節 自然主義的観念論(その1)――物理的性質と経験される性質の関係
 第3節 自然主義的観念論(その2)――そこにないものが見える理由
 第4節 ミニマルな表象理論から言えること

第7章 ギャップを無害化する
 第1節 3つの応答の試み
 第2節 知覚と思考――ギャップの正体

結論、または間違いさがしのお願い


用語解説
参照文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

32
読むのに半年くらいは掛かった。それは、この問題が通読すれば良いという問題ではなく、物理主義、精神分析(自己言及)、AI、宇宙といった問題に関係しているからだ。本書がこれらの問題に対して何らかの解答を与えているのかといえば全く与えていない。意識経験を志向性としてとらえ、意識経験の因果的な原因に表象があるとして、表象理論を様々に追求していく。理論的なことと経験的なことに架橋されるのかといえば、そこは問題にならないという結論で終わる。恐らくだが、この問題は①この本でいう物理主義は外環のことで、生命の生態(内環)2022/10/08

izw

10
「できるだけ明快に」という基本方針で書かれているだけに、読み終えることはできたが、ハードプロブレムが解決できたのかどうかを理解することができていない。もう一度丹念に読んでみたい気もするが、気力が続くかどうか不明である。2017/11/09

Gokkey

8
直前に読んだシュレーディンガーの著書のエピローグ(https://bookmeter.com/books/2264)のシュレーディンガーの頭の中がそのままタイトルになったような一冊(このタイトルに対する回答は最後にあります)。著者の学位論文がベースになっているので、よくあるパターンの冒頭レビューからの本論展開で、関連領域の知見のまとめとしても有用でした。著者が採用するアプローチは物理主義という、意識は自然科学的な枠組みの下で理解可能だというもので、チャーマーズのような思考可能性論証に反した論考を展開する。2020/02/18

鼠に訊こう

5
意識の表象理論について、その考え方やどのような問題が指摘されているのかを、かなり体系的に書いてあるので教科書を読んでいるような気分になってくるが、素人がスラスラ読めるようなモノでもないので結構大変だった。とはいえ、一度がんばって読んでおけば他の心の哲学系の本は読みやすくなりそうな気もする。 意識のハード・プロブレムについては、挙げられた問題点は解消できてるようにも見えるが、いかんせん自分が素人なので細部はよくわからないしなあという印象。2015/08/12

ヘンリー八世が馬上試合で死んだことは内緒

5
意識は外界の表象である、だが、外界そのものの表象ではなく、外界の存在を生物がどのように利用するかという点で分節化された表象である。この表象は近位刺激をもとに遠くのあり方を再構成するための内部メカニズムがあれば構成できる。ゆえに、神経系を持った生物はすべて意識経験を持っている。知覚表象システム自体は物理主義的に還元できるが、そこで表象された性質は物理主義的還元は不可能。実在論などの他の哲学問題にも応用できる考え方である。2015/04/22

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