なぜ日本の公教育費は少ないのか - 教育の公的役割を問いなおす

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なぜ日本の公教育費は少ないのか - 教育の公的役割を問いなおす

  • 著者名:中澤渉
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  • 勁草書房(2021/08発売)
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  • ISBN:9784326653881

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内容説明

日本の保護者の教育費負担は非常に重いが、公教育費負担を増やすべきという社会的な声はあまり大きくない。しかし私的負担の重さは、少子化の促進や教育機会の不平等の拡大につながる。社会保障や福祉と教育の機能を考察しつつ、財政難という条件にある日本において、公教育費を増やすにはどうしたらいいのか、そのヒントを探る。

目次

序章 少なすぎる公教育費
 1 閉塞した教育費をめぐる問題
 2 公教育費は増やせるのか

第I部 教育費をめぐる人々の意識と政策の現状

第一章 教育の社会的役割再考
 1 「教育」の浸透する社会
 2 近代化と教育─社会学的に学校教育を振り返る
 3 教育の社会的機能再考

第二章 国家・政府と教育
 1 政府にとっての教育
 2 近代国家の成立と教育システムの整備
 3 国家機構の整備と世界への普及

第三章 教育と社会保障・福祉との関係性
 1 社会政策としての教育
 2 日本の教育政策と背景の福祉制度
 3 グローバル化する世界と社会政策
 4 国際比較から見る教育制度と社会保障・福祉制度との関連

第四章 国際比較から見た日本の教育・社会政策への意識構造
 1 福祉政策・社会保障に対する態度
 2 社会政策の規定要因
 3 国際比較分析

第II部 教育の公的負担が増加しなかったのはなぜか

第五章 日本の財政と教育
 1 政府の赤字財政の原因
 2 財政と予算
 3 負担と利益のバランス

第六章 教育費高騰の戦後史
 1 戦後民主主義教育体制の発足と教育費の負担
 2 高度成長期から安定成長期にかけての教育費
 3 恒常化する重い教育費負担

第七章 教育費をめぐる争点
 1 自己責任と化する教育費負担
 2 選挙の公約・マニフェスト
 3 民主党政権の掲げた教育政策への賛否

第八章 政策の実現と政党に対するスタンス
 1 「官」に対する厳しい眼差し
 2 間接民主制における民意の反映
 3 政党支持と政策への態度の関係

終章 教育を公的に支える責任
 1 「失敗」に対する寛容
 2 教育と公共性・教育の公的負担に向けて

あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

25
豊かな社会が実現、教育機会平等化の影で、不平等、格差、貧困問題が見過ごされやすい(8頁)。教育システムの 官僚制化(88頁~)には英国の事例がある。各国の主成分分析や帯グラフなどのデータを挙げながら詳述するのは 説得力がある。官に対する厳しい眼差し(313頁~)。日本の官僚制はバブル前は肯定的、弾けてからは否定的 (320頁~)。R.K.マートンの官僚制の逆機能も紹介されている。本来的なものとは逆行する矛盾(323頁)。 2015/03/10

アナクマ

8
「学校教育が一体何の役に立ったのかわからない」「教育費は家庭・会社でめんどう見(られ)ます」だったら、公的負担は低いまま。国際比較研究で援用されるという「アンデルセンの福祉レジーム」が勉強になりました(労働力の脱商品化をキーに先進諸国を大別して分析を加える)。教育費を誰が負担するべきかについては、社会保障・福祉との関係性と、さらには、こんな日本にしたいという民意に結局のところ行き着く。トレードオフの財政のなか、それでも社会を支えているのは人で、公的負担が是とされる社会にはどうしたら?2017/01/15

まるさ

6
公教育負担のOECDの比較における少なさを定量的に指摘した本。教育財政や経済学、計量分析を学んだ学部生向けの本であり一般向けとは言い難い。 教育関係の本は著者の感傷的な意見を開陳することに偏りやすい中で本書は実証分析を基礎において論じているという意味で、 間違いなく良書なので日本の政党政治や定量分析にについてある程度割愛した上で200頁前後の新書にし直して出版してほしい。2017/04/20

りょうみや

4
近代以降の先進諸国の教育、税システム、社会保障などの国際比較をかなり詳しくしたうえで日本の公教育費についても考察している。意外だったけど、日本はこれでも他国と比べて税負担は高くない。そして、政治家だけでなく国民の教育費への関心はこれまで(他の社会福祉と比べて相対的に)高くなかった。著者は日本のそもそもの根本的問題として、日本人の気質、システム的に大きな改革をしづらい硬直した民主主義の仕組みそのものを挙げている。2016/03/01

たろーたん

3
「無駄の削減」「公務員の削減」などが言われ、税負担が多いイメージの日本だが、国際比較では非常に小さな政府に属する(高齢者年金と医療は多い)(日本の小さな政府は財政による支援ができないため、規制の方向に走る)。なぜ小さい政府なのに税をたくさん使っているというイメージがついたのか。国鉄などが象徴的だが、民間に比べて政府=無駄が多く、赤字を重ね、態度が横柄、労働運動がわがままに映るなど非効率で遅れたイメージが浸透し、さらには天下り、癒着、無駄遣いなどで官庁への不信も増大してしまった。(続)2022/07/10

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