朝日新書<br> 改訂版 小林秀雄の哲学

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朝日新書
改訂版 小林秀雄の哲学

  • ISBN:9784022735263

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内容説明

なぜ小林秀雄の言葉は人の心を魅了してやまないのか? 生誕111年・没後30年にあたる今年、『理性の限界』等で知られる気鋭の論理学者が、“近代日本最高”の批評の数々を徹底的に考察する。“受験生泣かせ”ともいわれる難解な論理の正体とは。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コウメ

66
好きなジジイって聞かれたら小林秀雄と答えるぐらい好きになってしまった。/本書は小林秀雄が書いた作品の素晴らしい所を作者が書いている。/本作品「文学の雑感、真疑応答」/歴史家というのは過去を研究するものではない。過去をうまく甦らせる人を本当の「歴史家」という。歴史が今誤解されているのは、過去をは昔僕らの外に昔あったんだと考える。だから本能寺ってものが昔、あそこに本能寺の変があったと知識として、過去にそういうことがあったということを調べるのが「歴史」になっている。/今の自分の心の中に生かすのは2019/10/13

コウメ

63
[完]「私の人生観」/宮本武蔵の「独行道」のなかの「我事に於て後悔せず」という言葉がある。自分はつねに慎重に正しく行動して来たから世間の人よりは後悔はしないという浅はかな意味ではない。/今日の言葉でいえば、自己批判とか清算だとかいうものは皆嘘であると武蔵は言っている。そういう小賢しい方法はむしろ自己欺瞞(ぎまん)になる。昨日のことを後悔したければ、後悔してもよい、次は今日のことを後悔する明日が来る。その日その日が自己批判に暮れる様な道を何処まで歩いても《批判する主体の姿に出会うことはない》2019/11/08

コウメ

59
❷「ノート」・作品名「様々なる意匠」我々にとって幸福な事か不幸な事か知らないが世に1つとして簡単に片付く問題はない。/人間が意識として共に与えられた「言葉」という我々の思考の唯一の武器は昔から変わらない。そう言葉には「崇高」も「劣悪」もない。/人は様々な可能性を抱いてこの世に生まれてくる。彼は科学者にもなれただろう、軍人にもなれただろう、小説家にもなれただろう、ただし彼は彼以外のものにはなれなかった。これは驚くべき事実。この事実を言い換えれば、人は様々な事実を発見することは出来るが発見した事実をすべて2019/10/22

コウメ

55
❸作品名「戦争について」/僕には戦争に対する文学者の覚悟という様な特別な覚悟を考える事ができない。銃をとらねばならぬ時が来たら、喜んで国のために死ぬだろう。僕にはこれ以上の覚悟が考えられないし必要とも思わない。一体文学者として銃をとるなどということがそもそも意味をなさない。誰だって戦うは兵の身分で戦うのである。《文学は平和のためにあるのであって戦争のためにあるのではない。》日本に生まれたたという事は僕らの運命だ。誰だって運命に関する智慧を持っている。2019/10/27

harass

43
この非論理的な文芸評論家のについての論理学者による入門書。引用が多めで初めて小林の文章を読む人でもエッセンスをつかみやすい。独特な論理展開とレトリックを駆使した文章の魅力を解説してある。小林は神格化されるか揶揄されるかという印象が強い。自分は一時期はまって全集を揃えたことがあり、難解だが独特な魅力を明快に語っていてうなずけることばかりだった。また小林の私生活や交友関係など、断片的に知っていたのが再確認できたし、初めて知ることが多く非常に楽しめた。平凡なタイトルだがなかなかの良書。2015/02/27

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