内容説明
チェックリストやマニュアルで自己判断が可能なほど、精神医学はイージーなものではない。長年、患者を観察し続けてきた精神科医だからこそ確認し、解説できる精神疾患のパターン。本書では、双極性障害や統合失調症から、閉ざされた家の怖さや共依存などまでをつぶさに検証し、読者が精神疾患に対して「よりリアルな」イメージを持ち、理解することができるようになっている。また、患者、人間にとっての幸福とは何か、精神科医の仕事とは何かについても考察する。
目次
序章 やってはいけない
第一章 「うつ」問題
第二章 躁と双極性障害
第三章 パーソナリティー障害と「困った人たち」(付 クレーマー対応法)
第四章 神経症は気の迷い?
第五章 統合失調症――懐かしい狂気
第六章 家という異界
第七章 これは病気なのか
終章 治ることと元に戻ること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃが
63
「身近な精神疾患の数々と、その対応法が理解できる入門書」らしい。心の病ほど臨床事例で同じものは一つもないと思っているが、久しぶりに新書を手に取った。共感できたのは<これは病気なのか>の章の<セルフネグレクト>と<歳を取り損ねる>だった。『歳を取れば、前頭葉の機能が低下して心のブレーキが利きにくくなる。子供の頃は年長者を敬うように教えられてきたのに、いざ自分が老人になったら敬ってくれないどころか親切にしてくれない。…今まで生きて身に付けたスキルが役に立たず、見知らぬ機器やシステムに翻弄されて気が休まらない』2021/08/10
ネギっ子gen
58
【チェックリストやマニュアルで自己判断が可能なほど、精神医学はイージーなものではない】長年、患者を観察し続けてきた精神科医だからこそ確認し、解説できる精神疾患のパターン。患者、人間にとっての幸福とは何か、精神科医の仕事とは何かについても考察した書。病気への理解の大切さ、精神医療における生々しい問題点も浮かび上がらせ、当事者や援助者だけでなく、一般読者にとっても非常に興味深い内容になっている。例えば、新型うつ病を訴える患者は、詐病しているわけではなく、本人は苦しんでいるが、周囲の理解は得られにくいと――。⇒2024/11/16
おいしゃん
37
タイトルもそうだが、小見出しひとつひとつが、実に興味深い。専門書を求める人や、この本を読んで病気を治したいというような人には正直向かないが、「こんな人がいるんだなぁ」「こんな悩みを持つ人がいて、こんな風に苦労してるんだなぁ」と気づかせてくれる。2021/11/25
原玉幸子
22
著者の、内容、構成、語り口をひっくるめた文筆力の高さと、精神疾患の患者と家族、そして「時代の切り取り方」の秀逸さに吃驚するいい新書でした。例えば、精神分裂症を統合失調症に精神疾患の呼称が時代と共に変わるのは分かりますが、時代の変化と共に患者が増減し症例自体が変わるのは、言われてみて「そうだなぁ」との納得半分、一寸した驚きです。それらを診て感じて来た著者故の説得力と迫真性、そして「精神科医こそが人間の内面を言語化する能力に長けていなければならない」と思わせる安心感があります。(◎2021年・秋)2021/09/18
くさてる
21
多くのエッセイで知られる精神科医による入門書。平易な言葉で具体例も多く、また、最新の治験に基づいた内容で、分かりやすく読みました。単純に読み物としても面白いけれど、まさに「あなたの隣に」ある病としての精神疾患について、理解を深められるのでは。精神疾患に興味がある人におすすめ。2021/06/30
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