内容説明
突如文壇から姿を消した小説家は、戦後、サボテンの栽培研究で知られるようになる。サボテンを通じた「荒涼の美学」や科学観を精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
isbm
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★★★2024/03/28
たね
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表題作の『焼夷弾を浴びたシャボテン』は戦争末期の東京の市井の人々の様子が淡々と描かれており、読み応えがあった。戦火に焼かれたことがきっかけで熱心にやっていた蒐集をやめたり、栽培・販売を諦めたりする様子は今のコロナ禍と重なるような気がする。私もライブにあまり行かなくなったし、今までと同じ熱量で好きなことに熱中できているとは言えない。非日常を経験すると戻ることは難しいと感じた。そんな戦火の中でもブレなかった作者が羨ましい。2022/04/25
kimrahimovic
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戦火を逃れながらシャボテン(とそのコレクター)を気にする滑稽さ。サボテンは作家の一側面?2020/04/21
natsumi
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小説家でありサボテンマニアの著者の随筆集。古い家の軒先や縁側にひしめくサボテンが原風景としてあって、限りなくそれに近い懐かしさを感じる世界観。戦争の真っ最中も敗戦後の焼け野原の中でもとにかくサボテンの心配ばかりしているので、実際にはだいぶ変な人に思われてただろうね…。でも、まあこういう人もいたほうが希望があると思えるような、不思議な明るさを備えた文章。ロマン。2021/01/25
夏みかん
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専門家ではなくご自身もおっしゃってるようにマニアの視点で書かれた文章って感じで、まるで「マツコの知らない世界」に出てくるマニアな人たちの話を聞くように楽しく親しみやすく読めた。時々、とてもロマンティックな話が出てくるのも素敵だった。でも、タイトルになってる「焼夷弾を〜」は、今までに読んだ戦争体験談に比べると現実感が強くて、戦争の恐ろしさを身近に感じた。2020/05/29
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