内容説明
ヨーロッパを席巻した北斎、歌麿の19世紀末ジャポニズム。
いま、宮崎駿が、エヴァが、ポケモンが創り出す新ジャポニズム
が世界を魅了する秘密とは?
東京在住のアメリカ人ライターが描いた「夢の国」
のクリエーターと消費者の物語。
「バブルの崩壊、政治的カオス、若年世代のバーチャル逃避など、日本が数十年早く経験した現象がいまや他の国にも起きている。日本が作ってきたのは、単なる製品ではなかった。これまでになくつながっているかと思えば、これまでになく孤立する奇妙な新しい世界を旅するためのツールだった。日本のクリエーターと消費者は単なるトレンドセッターではなかった。先進国が迎えた晩期資本主義世界で、彼らは未知の領域のすこし先を歩いていたのである。」(本書序章から)
目次
日本語版への序文 マット・アルト
序章
第1部 一九四五年の敗北
第1章 ブリキの玩具――小菅のジープ 一九四五年
第2章 アニメ誕生――アニメ 一九六三年
第3章 みんなスターだ――カラオケマシン 一九七一年
第4章 かわいい――ハローキティ 一九七五年
第5章 持ち歩く音楽――ウォークマン 一九七九年
第2部 一九九〇年代
第6章 女子高生王国――スクールガール文化、世界へ
第7章 アニメ新世紀――オタク
第8章 世界を虜にするゲーム――ファミコン&ゲームボーイ
第9章 反社会的ネットワーク――2ちゃんねる
そして二〇一〇年代
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
27
本書は産業史とあるが、ブリキのおもちゃ、アニメ、ウォークマン、エヴァ、2ちゃん等を網羅した戦後~現代までのクリエーターたちの物語だ。エンスーと言う言葉があったが、まさしくエンスーの極み!実に興味深い読書体験だった。2021/09/20
スプリント
12
サブカルチャーの歴史。 実体験として経験した時代の出来事は懐かしさがこみあげてきた。2024/01/14
nobu23
6
日本のオタク文化を戦後から現代まで説明していく本。外国人から見た日本文化の紹介かと思ったら、そっちの成分は少なめで、日本人から読んでもへぇと思ったり、懐かしいと感じたり、丁寧に説明が書かれていて面白かった。2021/09/05
siomin
4
日本の戦後以降に生み出されてきたもののクリエーターたちにスポットライトを当てた一冊。ブリキのおもちゃにはじまり、アニメやカラオケ、ファミコンなど。関係者の文献やインタビューもあり、かなり丹念に構成されていますので、新しい発見もずいぶんあります。翻訳本ですが読みやすいのもよいです。個人的には、サンリオのなりたちとキティの成り立ちが書かれているし、サンリオキャラのなかで異端であるアグレッシブ烈子にも言及しているとは、この著者はどれだけ研究しているのだと舌を巻きました。2021/12/11
yw_revolution
3
カラオケの回がいちばん印象に残った。アイドルソングなどの売れ線楽曲が「カラオケで歌いやすい」ように作られ、それを歌うアイドルも、マネをしやすい歌い方をできる(しかできない)人間が登用される。かねてより思っていた「アイドル産業が音楽コンテンツそのものの劣化を招いた」ということのメカニズムを垣間見た。ただ、ここ数年出てきたアーティスト・ヒット曲はこれまでより「歌わせる気が無い」曲が増えてきていていい傾向だと思っている。2023/04/03