内容説明
【あらすじ】
水田で老人の焼死体が発見された。状況から自殺と考える警察に、ある老婆が異を唱える。彼女の名は花井朝美。癖のある老人が集まり「ワケあり荘」と呼ばれるアパート、若鮎荘の住人だ。70 過ぎでありながら背筋をピンと伸ばし、意気軒昂な花井は、鋭い観察眼と長年築いてきた人脈を生かし、事件の真相に迫る。彼女と「ワケあり荘」の住人たちは、その後も様々な事件に首を突っ込んでゆき――。
【著者情報】
1952年、長野県岡谷市生まれ。中京大学法学部卒業。趣味は詰将棋創作で、詰将棋パラダイス半期賞、日めくり詰め将棋カレンダー山下賞を受賞。第17回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、2019 年に『盤上に死を描く』(宝島社文庫)にてデビュー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
283
井上ねこさんの2021年に書かれた第2作ですね。名探偵は70代の元小学校教師、花井おばあさんで、ワケあり荘(本当は若鮎荘)と長野県平野市で起きる怪事件に挑む4編の短編集ですね。彼女は日本のミス・マープルで外見は野際陽子さんのタイプですよ。28歳の若い管理人・若泉歩美がワトスン役で、どれもトリッキーな仕掛けの作品で非常に楽しめましたね。前半2編は強引な感じがしましたが後半2編は自然な感じで完成度が高くなりとても良かったですよ。花井おばあさんは好奇心旺盛なお達者老人ですが、知人の関与の多さに気を滅入らせます。2023/02/12
うまる
37
コージーっぽいのかなと思ったら、真相とかが意外と重くて面白かったです。ほんとにワケあり荘の住人はワケありばかり。けど年齢に負けない元気な方が多くて良いですね。探偵役のお年寄りである事を活かした捜査が素晴らしいです。こんなおばあさんが身近にいたら、一緒に探偵ごっこしたくなるのもわかります。1冊の中で色々あったけど、続編も期待できるんじゃないでしょうか。 それにしても、最近じゃめったに見ないだっさい表紙。もうちょと売れるような装丁にしてあげてよ~と思う。2022/01/20
のんちゃん
34
若泉歩美28歳は祖母から受け継ぎ、長野県の自宅敷地内にある独居老人専門アパート、「若鮎荘」それをもじって、通称「ワケあり荘」の管理人をしている。ここの入居者やその周辺に起こる事件を入居者の花井という老婆が、年寄りという特性やこれまでの人生で得た人脈を利用して聞き込み等を行い、見事に解決していく探偵物。そんなに奇抜でないトリックや話の運びで、推理小説初心者向けという感じ。訳ありの高齢者の一人暮らしを支えるこのアパートだが、花井の訳ありの真相がまだ、語られていない。次巻を期待する。2021/09/01
Karl Heintz Schneider
29
表紙絵からは、ほのぼのとした日常ミステリーかと思えたが 殺人事件や傷害事件等、ガッツリ骨太なミステリーだった。ワケあり荘は諏訪湖が近かったり市営の温泉施設があったりするのだが、このあたり、著者も長野県出身ということで当地の情景がちょくちょく出てきたりする。吉永南央さんの「萩を揺らす雨」に似ているかもしれない。表紙絵の作風もそっくりだった。2022/02/15
み
25
ジャケ読みした作品。う〜ん、花井さんの捜査力と推理力が凄すぎて、かえって興醒めしちゃいました。ちと楽しめず、残念なり。2022/05/08