内容説明
街から山に行き、山から街に帰る――。登山前の心配、不安、期待、憧れは、下山後には高揚した疲労感と安堵感を伴って酒の味を美味しくさせる。山への飽くなき憧憬と、町田の酒場で抱く日々の感慨。その間を振り子のように行き来する哀愁画伯は、今日も山で過ごした忘れがたい記憶をたどり、抒情を綴る。約70点のイラストと長年の登山経験に基づく実になるコラムを収録。熾火のような熱い気持ちが胸に沸く、珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
102
沢野さんのエッセイは良いね。ある意味本職の物書きではなくて、自分の好きな事を好きなように書いているからだと思う。町田市の超低山の散歩から上高地や南アルプスの話まで、読むと山に行きたくなるし、「うんうん、そうだねえ。」とうなづく事も多い。文中何度か山小屋でアルバイトする息子さんの話が出てくる。昔連れて行った子供がすっかり逞しくなり、ご自分の体力の落ち込みに嘆いているが、こちらもまた私も同様である。ただ、後半ほとんどは町田のお話……。(笑)★★★+2021/07/24
Shoji
46
私は山歩きと酒が大好きで、それだけしかないような男かもしれません。この本、山を題材にしたエッセイですが、半分はお酒や食べ物のお話かな。所々、私の地元、奈良県のお話も。山と酒繋がりで私には、ドンピシャどはまりの一冊でした。2021/11/16
Nao Funasoko
22
タイトルは人生の終盤戦へと向かう自身の投影なのか。 勿論山の話もいいが、年長の先輩からこんな話を話を聞くと、「ああ、オレもいずれそんなことを考えるようになるんかな」なんて思ってみたりもして。 学生時代に立ち寄っていた町田の古本屋が2019年に閉店してたことを本書で知った。2021/07/29
時代
13
やっぱり沢野も好きだな。とはいえ、歳には抗えないようだ。半分は町田の話でしたがいい雰囲気で◯2021/07/21
LaVieHeart
11
山に纏わる一冊かと思いきや、全然違った。。。 山の話は最初の数話だけで、後は町田での日々の暮らしのエッセイ。著者には大変申し訳ないけれど、どうにも「裕福だがこだわりが強く偏屈なオヤジの余生」的な印象で、何一つ共感できなかった。 所々挿入されるイラストはとても味があって色々想像すると楽しいので、イラスト集の方が楽しめた気がする。2025/05/17