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内容説明
迫り来る欧米列強の帝国主義支配から自らを守るため、ついに、強豪ロシアを敵に廻し、矛を交える羽目になった、生まれて間もない明治日本。ロシアは、当時、世界最大の陸軍国であった。その陸戦の総司令官として、この最強の敵前に立ったのが、本書の主人公・大山巌である。彼の特質は、師とも兄とも仰ぐ西郷隆盛ばりの、きわだった度量の広さにあった。たとえば、彼が作戦の遂行をまかせていた児玉源太郎が、敵の不意打ちをうけてパニックに陥っている時、わざと寝巻き姿の眠そうな顔で作戦室に現われ、部下たちに冷静な頭を取り戻させるなど、人身掌握の術にたけていた。また、そのウラで、外見からは窺い知れない緻密な戦略眼を持っており、乃木と児玉を共同させて、旅順の戦いを制するなど縦横無尽な作戦指導を見せたりもした。日本陸軍が、日露戦争において、苦戦を辛くも勝ち切ったのは、この大山巌無くしてはありえなかったであろう。その生涯を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
7
日露戦争時の陸軍総司令官。人の上に立つ人物とはどういう人なのか、よくわかる一冊。海軍の東郷平八郎・秋山真之コンビと並び称される大山巌・児玉源太郎コンビ。東郷が豪放磊落なのに対し、大山は懐深く感情を抑えて器の大きさを感じさせるタイプだった。秋山にしろ児玉にしろ、理想の上司を得てその才能を思う存分発揮できたのだろう。こういう上司に巡り合いたいなんて思ったりもするが、こっちだってそれ相応の能力が無ければ全く無縁な人。向こうだって相手を選ぶよな(笑)日露戦争の英雄は東郷平八郎、秋山好古、秋山真之に続いて四冊目。2023/06/30
Masanori Mori
1
本当の大将の役割は何か?すぐに手を出してしまう自分に問いかけられた作品だった。自分の仕事への取り組み姿勢を考えさせられました。2014/05/23
じょるじ
0
「坂の上の雲」を読んだ時に、一番興味を持った人物が大山巌でした。どのようにして彼のような神のような上司が生まれたのか?薩摩という土地と西郷隆盛という大人物に育てられたという事が非常に大きかったと思う。隆盛との師弟(兄弟)関係、従道や児玉との友情、どれも清々しく感じられました。大山みたいな上司の下で働けたら、本当に幸せだろうな〜2016/10/01
やま
0
大山巌は以前から関心のあった人物。読みやすいが物足りなさも残った。2015/02/22