内容説明
原爆投下は、たった一語の誤訳が原因だった――。突き付けられたポツダム宣言に対し、熟慮の末に鈴木貫太郎首相が会見で発した「黙殺」という言葉。この日本語は、はたして何と英訳されたのか。ignore(無視する)、それともreject(拒否する)だったのか? 佐藤・ニクソン会談での「善処します」や、中曽根「不沈空母」発言など。世界の歴史をかえてしまった誤訳の真相に迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
86
鳥飼玖美子さん!懐かしい。TVの英会話番組で、イヤそれ以前にも同時通訳者としてTVで見かけてた気がする。本文庫版は平成16年だが、単行本は平成10年(1998)刊と古い。題名に惹かれて”誤訳が引き起こした面白いエピソード”を期待したが、本書は立派な「通訳論」。異文化を背景とした言葉をいかに訳すべきか、通訳者としてどこまで踏み込むべきか、悩ましいという。日米首脳会談で佐藤首相の「善処する」、中曽根首相の「不沈空母」、鈴木(善)首相の「同盟」などの発言が、国内で問題になった。今では「日米同盟」なぞ普通に通用⇒2026/04/20
tomi
37
国際会議の同時通訳を務めていた著者による通訳論。異文化コミュニケーションの難しさがよくわかる。日本の政治家が得意の「善処します」等の曖昧な語句による誤解、国によってイメージが違う動物などの比喩の難しさ、同じ訳語でも意味するものが違う事(例えば倫理とethic)。通訳の意図的な誤訳による情報操作の問題、更に英語が得意でも通訳なしで会談する事の落とし穴、幕末の通詞の話など盛り沢山の内容。尚、タイトルは原題の「ことばが招く国際摩擦」のほうが適切ではないか?2017/02/13
やっさん
20
通訳の世界で活躍されている第一人者による、通訳・翻訳論と言ってもよい書。連合軍による無条件降伏勧告を黙殺した日本、それを"ignore(無視する)"と訳されてしまって…。日本人同士でしか共有しえない、言葉の裏側を汲み取ってもらおうとする外交は"歴史を変えてしまう"ことがあるのだな。中曽根首相の「不沈空母」発言など、通訳者は会話の背景を事前に叩き込む必要がある一方、叩き込みすぎて訳が先走ってしまうこともあるという、繊細な仕事。単なる言葉の変換ではなく、文化の次元になってくる難しい仕事だな。2016/03/18
Nobu A
18
国益が関わる外交等で実際に起きた誤訳を紹介。国内では幕末の通詞、海外ではメキシコ制服にスペインに力を貸した通訳者まで遡る。様々な翻訳論や歴史を俯瞰しながらの翻訳者の在り方等まで話が及び、鳥飼先生の考察が非常に示唆に富む。文化的背景も知らなければ、訳出困難な表現。一方で、文化の架け橋として訳出を試みる努力。翻訳は奥が深く、意義がある営み。なければ、今のグローバル化はなかったはず。日本人同士だって誤解は多々生じる。外国語だと尚更。本著を通して言葉の大切さを痛感。読みたい引用本も多数。興味を掻き立てられた良書。2019/06/01
海恵 ふきる
16
通訳史上の事件や誤訳・名訳を具体例としてふんだんに紹介し、それぞれについて検討を加えていく。中でも、外交上の配慮から意図的に誤訳された例は興味深かった。あえて曖昧な訳にすることで国内の混乱・批判を抑える一方で、実際にはどんなことが協議されているか分からないままに、国民は置いてけぼりを食らう。また、どこまで相手の文化を考慮して訳すかは難しい問題だが、ドナルド=キーン先生の英訳には感嘆した。日本語と英語の両言語に精通しているからこそできる芸当である。通訳という行為について、様々な示唆を与えてくれる本だった。2021/11/22
-
- 電子書籍
- SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡…
-
- 電子書籍
- 第5話 しょうがない② ゴラクうぇぶ!
-
- 電子書籍
- Retry~再び最強の神仙へ~【タテヨ…
-
- 電子書籍
- 難民に希望の光を 真の国際人緒方貞子の…
-
- 電子書籍
- 君のとなりで。(7) つながる想いと、…




