内容説明
人生における〈空白〉として捉えられてきた〈老い〉.しかし超高齢化時代を迎え,〈老い〉に対する我々の考え方も取り組み方も変化を余儀なくされている.〈老い〉を問題とする現代社会の有り様にむしろ問題はないか?「日常」「アート」「顔」など身近な問題を哲学的に論じてきた第一線の哲学者が,現代社会の難問に挑む.
目次
はじめに┴1 〈老い〉はほんとうに「問題」なのか?┴あたりまえの視点┴「介護問題」としてせりだしてきた〈老い〉┴〈老い〉をめぐる固定観念/高齢者介護の歴史的経緯┴〈ケア〉についてのこれまでの語られ方┴かつてこんな〈老い〉があった┴2 できなくなるということ┴〈老い〉の重なり┴〈老い〉の気づき┴できなくなったという意識┴〈老い〉と疲労┴3 〈老い〉の時間 見えない〈成熟〉のかたち┴「大人」になれない社会?┴成熟と成長┴プロスペクティヴな時間┴成長と衰弱というメタファー┴消えた〈成熟〉のモデル┴〈成熟〉の時間とは?┴まとまらない時間┴4 〈弱さ〉に従う自由┴〈老〉と〈幼〉の対称性┴〈反世界〉のまなざし┴他なるものの受容┴「定年」はモデルにならない┴みずからの存在への問いにさらされる?┴「できない」ということ・再考┴シュノイキスモス┴相互依存(interdependence)と協同┴「弱いもの」に従う自由┴5 ホモ・パティエンス べてるの家の試み┴「弱さを絆に」┴奇妙なクリニック┴「苦労をたいせつに」┴「安心してサボれる会社」┴語りあうことの意味、「再発」することの意味┴「ひとりで勝手に治るなよ」┴6 肯定と否定のはざまで┴「できない」ということ・再々考┴「ある」を起点に┴暴力としてのケア┴逃げ場のないループ┴置き去りにするケア┴ケアにおける「専門性」┴7 「いるだけでいい」「いつ死んでもいい」と言い切れるとき┴「無為の共同体」┴非全体性の思考┴高貴なまでのしどけなさ┴意味の彼方┴「痴呆」というあり方┴通り抜けるものとしての家族、あるいは「その他の関係」┴受けとめと付き添い┴選ばれるということ┴エピローグ 一枚のピクチュアへ┴あとがき
感想・レビュー
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どんぐり
ニッポニア
しゅん
しゅんぺい(笑)
けいしゅう