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内容説明
巨匠筒井康隆が書き下ろす『活劇映画と家族』は文化と人間性を考察する意欲作である。
筒井氏が長い時間をかけて見続けてきた活劇映画には、ロマンと家族愛とアクションが織り込まれ、究極の娯楽であり、また人間模様が明確に打ち出されていると氏は断言する。
本書は新書の枠を超えて、混乱の第2次世界大戦前夜から復興の時を迎えた映画全盛期につくり出された活劇映画の魅力と溢れるヒューマニティを痛快に描きつくす氏の集大成となる作品である。
ハンフリー・ボガードやジョン・ウエイン、ジェームズ・キャグニーなどの主演男優、キャサリン・ヘップバーン、ローレン・バコールら主演女優のみならず脇役陣の多彩な魅力にも触れつつ、ハワード・ホークス、ジョン・ヒューストンなど監督の魅力にも迫る視点も独特で、まさに巨匠の傑作である。
目次
家族と疑似家族
一 「白熱」「血まみれギャング・ママ」「前科者」
二 ハワード・ホークス監督「ハタリ!」の疑似家族
三 ジョン・ヒューストンに始まるボギーの一族
四 西部劇の兄弟
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
84
昔の映画について語っていて結構ネタバレ的な所もありつつ(筒井先生、大丈夫?)、映画の中の家族又はハワード・ホークス組のキャスト全員の家族的愛など、家族に焦点を当てた映画紹介。ローレン・バコールの人の良さやキャサリン・ヘップバーンの『アフリカの女王』での肝っ玉がすわったエピソードなどおもしろい。2022/11/01
keroppi
79
筒井康隆さんは大好きで新作が出れば即買いしているし、映画も大好きなので、大いに期待して読んだ。さすがに、この時代の映画は、あまり見ていない。最近問題になったファスト映画のようにストーリーを説明してくれるが、「面白さ爆発」にはならない。期待した「筒井ワールド炸裂」でもない。まして「家族とは何か」を問うているわけでもない。息子を亡くした筒井さんが、息子の嫁と作り上げたということが、家族とは何かを思考しているのだろうか。取り上げられていた映画は、見たくなったが。2021/08/06
たぬ
14
☆3.5 家族をテーマに古い時代の洋画をいろいろ。映画ほぼ見ないので良くて出演俳優やタイトルを聞いたことがある程度。そんな状態でも御大による作品紹介は面白おかしく読めた。一気読みとはいかなかったけど。見たくなったのは「ハタリ!」だね。人間はともかく動物たちの演技に興味が湧いて。役者だとウォルター・ブレナンが愛嬌あるじいさんでいいな。カメラの外でのローレン・バコールが実に献身的で好感度大でした。2024/07/28
tama
9
図書館本 新刊案内で ツツイファン この人の映画に関する本今までにもあったけど、ちょっと様子が違う。いくつかのシーンを流れそのままに文字解説。ややうるさいがずっとあり。でもおかげで一家感を理解できた。劇団感や戯曲の中でのプロ集団感ってやつね。そう言うの描きたがる監督は女性の微妙な感情描写下手!?面白い!石原慎太郎は映画監督のこと詳しくなかった。なんか分かる。智子さんがよい秘書を務めていた。皆殺しの唄はDE GUELLOって言うの初めて知った。wikiによると斬首の意味のラッパ信号とか。2021/09/06
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
タイトルにあるとおり、取り上げられている映画はほぼほとんどが活劇映画と西部劇だ。たしかに、日本の任侠映画もそうだが、いわゆるアウトローを取り上げた映画には(疑似)家族が登場するものが多い。筒井のそれぞれの作品への愛が強すぎて、けっきょく(疑似)家族とはなんぞや、が最後まではっきりしなかった。スターの小ネタなどは面白いのだが……。映画の粗筋紹介がそれぞれの章の大部分を占めていて、ちょっと長いなあ、ちっとも粗くないなあ、と思うぞ(苦笑)。2021/07/27