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内容説明
「子育て罰」をなくすか、子どもを日本からなくすか――。少子高齢化が加速する日本において、出生数の回復は急務であるにもかかわらず、日本は先進諸国に比して家族関連社会支出が極端に少ない。本書では「子育て罰」を「社会のあらゆる場面で、まるで子育てすること自体に罰を与えるかのような政治、制度、社会慣行、人びとの意識」と定義。親子につめたい「子育て罰大国・日本」は「子どもにやさしい国」に変わっていけるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
104
「子育て罰」、子どもを持つことがマイナスにしかならない・・・。自己責任で社会に貢献できる人間を育ててね、おこぼれはあるから。かかるコストは受益者負担ね・・・。こんな感じ?現状の再確認なのがまたしんどい。ファクトもきちんと提示されているけど、憤りと使命感に押され一気に書き上げた印象。特に末富さんが自身の経験を語る部分は、押さえきれない感情が溢れてて身につまされる。この国にはお金はない。でも全ての子どもに「生まれてきてくれてありがとう」というメッセージを伝えていくコストは、惜しんではいけないんじゃないかな。2021/11/23
レモン
35
子育て罰とは正にその通り。本書で述べられている児童手当の所得制限は撤廃になったものの、異次元の少子化対策も案の定期待外れだった。これで3人目産もうなんて一欠片も思わない。ただ本書を読んで自民党でも若手の子育て世代議員や、与野党内でも真剣に子育て罰をなくそうと奮闘されている議員がいることを知れて、少し希望が持てた。もっと選挙の時に自分から情報を集めてちゃんと考えてくれている人に投票せねば。2023/08/10
なっぱaaua
33
昨年読んだ山田 昌弘著「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」に関連がありそうだったので読んでみた。勿論関連有りだった。「子育て罰」とは子育てがダメなのでは無く、日本が子供と子供を持つ世帯に冷たく厳しい国である概念を示したもの。政治だけでなく社会も厳しいのだという事をデータや事実から論じている。若い政治家や官僚の中でも子育てに理解があり改善しなければならないと考える人は多いが、政治の圧力や価値観不良、官僚の在り方、我々の働き方も含めてそうはならない現状がある。~続く~2021/09/09
りょうみや
24
低所得子育て家庭は税制による再分配で逆に摂取される結果になっているというのが象徴的。日本の低所得層に限らず子育て世代への支援の乏しさの現状やなぜそのような社会になってしまったのかの考察がうまくまとまっている。低所得層だけでなく高所得層にも差別なく支援することが重要で、そうでないと階層の分断が深まると言う。社会の分断でなく連帯が必要。子育てが社会的でなく個人的な営みになっているのはよく言われているが、自分自身が幸せに思えない社会では子供も大事にできないというのがとても印象に残る。2023/11/09
Satoshi
21
子育て自体に罰を与えるような政治、制度などを子育て罰と称している。まさにその通りで、日本は教育に対する政府支出は少なく、シングルマザーの困窮は問題とされているが、解決に向かわない。子供は社会の宝といわれる時代は来るのか、著者の指摘は極めて鋭い。子供の教育を家庭に押し付けていく旧時代的な政治家と官僚の感性はコロナ禍で具体的な説明もなくオリンピックに突入した政府の在り方、関係者の不祥事に対する五輪実行委員会の対応などを見ていてもその通りだとしか言いようがない。2021/08/08
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