内容説明
演奏家のなすべきことは何か?
楽譜から何を読みとり 何を聴き手に届けるのか?
古楽をめぐる18のテーマから、演奏の真髄を語る。
初の著作 The notation is not the music (2013) 待望の日本語訳。バルトルド・クイケンが長年にわたる研究と実践のエッセンスを語る。さりげなくシンプルな、しかし示唆に富んだ深い言葉は、まさに彼の音楽そのもの。
古楽から転じて未来の音楽を啓示する、唯一無二の書。
[目次]
第1章 基礎をなす哲学
第2章 研究への私の道
第3章 楽譜の限界
第4章 楽譜とその解読、演奏
ピッチ/音律/テンポとルバート/リズム/フレージング/アーティキュレーション/強弱/編成-楽器の選択-編曲/通奏低音/装飾/カデンツァ/即興/手稿譜、印刷譜、改訂、モダン・エディション/聴衆の態度/演奏者の態度/感情と情念/鏡/真正性(オーセンティシティ)の二つの概念
第5章 展望
参考文献・索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
玖良やまだ
16
フラウト・トラベルソ(バロック・フルート)の第一人者である著者が、次世代の音楽家のために、古楽の理論と実践の理論の背後にあるものを「アーティスティック・リサーチ」として研究した著書。そして「創造的な読譜」の必要性を強く感じるようになったという。演奏は再創造である。この世のすべてに賛否両論がある。時代や地域や各自の個性がある。決定的に違うのは、プロかアマチュアかということだと思う。自己満足度かお金を払ってくれる客満足度の違いだと思う。2019/04/25
trazom
6
以前、鈴木秀美先生の「通奏低音弾きの言葉では」を読んで、古楽の人は、こんなにも頭を使っているのかと感心したものですが、このクイケン先生の本を読んで、それと同じように音楽を突き詰める姿勢に、心打たれます。ピッチや音律に対する解説は面白いし、アーティキュレーションやフレージングの違いなど、今更ながら、とても勉強になります。しかも、文章は、クイケン先生が、親しみ深い語り口でお話しするという体裁なので、とても読みやすい。2018/04/05
Aura
4
オーセンティックな演奏とは? 「古楽器や古い演奏様式、古い演奏技術のことを、現在と比べて本質的に良いとも悪いとも考えていない。すべては、どんな作品・どんな目的に用いられるかにかかっているのである。」... 「古いもの=新しいものより劣ったもの」 多くあるこのような意見をすんなり受け入れるのは苦しく、悩んでいたが、この著者を読んで劣っている・優れている という発想がそもそも私の考えとそもそもズレていたんだなと認識できた。 進歩ではなく、変容。
concetto
1
Audibleの英語版でききました。 特に18世紀以前の音楽では、演奏されるべき音符が楽譜に全て書かれているわけではない。演奏家は楽譜を読み解いてパフォーマンスにおいて作品を追求すべき。 即興が求められるところもあったり、探求すればきりがない、完璧はない。だから面白い。2025/08/19
Go Extreme
1
アーティスティック・リサーチ HIP、歴史的知見に基づく演奏法 歴史的資料への真摯な対峙 楽譜の限界と演奏家の解釈 良い趣味、歴史的変遷と相対性 ピッチ多様性 歴史的音律と調性の色彩 テンポ・ルバートとバロック的時間 ノート・イネガールと仏バロックリズム 階層的フレージングとミクロ強弱 通奏低音、歴史的教則本に学ぶ実践 装飾とカデンツァ、書かれざる即興精神 原典版楽譜への批判的検討 演奏者の態度、作曲家と聴衆へ 作品の情念と演奏者の感情 歴史的真正性と個人的真正性の融合 楽譜は死せる素材、演奏で蘇生2025/05/26
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