文春文庫<br> 百花

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文春文庫
百花

  • 著者名:川村元気【著】
  • 価格 ¥800(本体¥728)
  • 文藝春秋(2021/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167917166

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内容説明

「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。

記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。

「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」

「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」

……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、
小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で
作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。

各界からも反響が続々!

◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合

◆深い感動のうちに読了した。
 ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次

涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。

解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。

※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bunmei

167
認知症になった母と一人の息子との親子の絆を、切なく、愛おしく綴った、ハートフルな物語。自分の父も4年前に認知症を患い、最後は肺炎で亡くなった。今また母も老化が進み介護が必要になる中、本作が他人事でなく、現実味のある話として、胸が締め付けられる思いがあった。人はいつか老いて死んでいく。そんな摂理の中で、最後に蘇ってくるものはいったい何なのだろう?過去の苦しく悲しいシーンも、美しく楽しいものに変換するのも今ならできる。晩年に差し掛かってきた自分の人生も含め、老いとどう向き合うか、考えさせられる作品であった。 2023/10/02

いたろう

105
現在公開中の映画を観る前に再読。認知症を描いた小説というと、他に中島京子さんの「長いお別れ」などを思い浮かべるが、「長いお別れ」では、初期の認知症でのとんちんかんな行動でまず笑わせ、その後、症状が進んでから、家族が振り回される状況が、壮絶の一言であったのに対し、この小説では、笑いも壮絶という程の状況もなく、母と息子の関係が、ただただ切なく描かれる。母親の言う「半分の花火」とは何か。泉が思い出すラストがまた、何とも切ない。著者の川村さん自身が監督をしているこの映画で、この場面をどう映像化したのかが気になる。2022/09/18

紫綺

85
単行本にて読了。亡くなる前、両親とも認知症になった。母はまだ軽かったが父は重く、母の葬儀に来た息子を断片的にしか認識出来ず、離れて暮らした後悔をせずにいられなかった。最期に逢ったときのガラス玉のような無機質な父の眼を想い出し、泣く。身につまされた。2022/09/28

エドワード

82
人間は記憶でできている。何と心を震わすテーマだろう。レコード会社勤務の泉の母、シングルマザーの百合子に認知症の症状が表れる。妊娠中の妻と超多忙な仕事を抱え、百合子の介護に走り回る泉は、今日の日本人の典型だ。ピアノ教師の百合子は直近の記憶を失っても、ピアノ演奏は失わない。遠い日の幼い泉の記憶―百合子の一番大切な記憶は最後まで失わない。私も先年、両親を亡くした。その時に浮かんだのは、若い両親と幼い私の記憶だった。人間はそういうものなのだ。たとえ母と子の間に“事件”があったとしても。温かい余韻が残る物語だった。2022/09/26

kyokyokyo3201

81
映画化のため主人公二人が表紙となっていた。そのためか俳優さんを当て嵌めながらの読書となった。認知症の進む母を見続ける苦悩を思うと心が塞ぐ。母が失っていくものが息子にとっては母その存在そのものであったり。残酷であるが行く道である。高齢の父母のいる身としては心安らかに毎日を過ごすことの大切さを噛み締めた。2022/08/11

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