内容説明
“ユーモア小説の大家”獅子文六の初期作品。
パリの片隅に日本人留学生の集まるアパート「達磨館」があった。そのヌシ的存在である松岡範平は国粋主義的人物で、隣の部屋に住む中上川亘は国際主義者。範平に義理がある中上川は波風立てないようにしているが、自分の考えを押しつけようとする範平には辟易していた。
そんなある日、中上川が川に身を投げようとしていた若いフランス人女性を助けてきて同棲を始めてしまう。夜な夜な漏れてくる甘美な物音に、範平の怒りは頂点に達するが――。
1920年代にパリに留学した経験から書かれた「達磨町七番地」のほか、映画化もされた2人の若者の悲喜劇「青空部隊」、デパートの女性店員たちの恋愛模様を描いた「青春売場日記」など、戦前に書かれた5作品を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
35
獅子文六初期短編集として小学館の新しいシリーズの一冊。Amazonでよく分から無いまま注文したら廉価版の読み捨て本と言った装丁。中々読み易くてリーズナブル。P+D BOOKSというのは電子と紙版を同価格で、という趣旨らしい。古いけれど残すべき書物が入っている。獅子文六の他の作品では「海軍」が入っている。表題作が気になっていたちくま文庫以降の文六ファン(小生もそう)が多かったのではないか。有名だけどよく分かっていないフランス留学時代を扱った小説。続く2021/07/28
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
「青春売場日記」が一番好き。昭和初期は女性の働き口で人気があったデパートガールに応募して採用された若い娘二人。片方は社会見学のつもりで就職した男爵の娘で、片方は母ひとり子ひとりの生活を支え、自分の結婚資金も貯めようと頑張る娘。難関を突破して日本橋の昭和デパートで働き始める。当時はデパートは8がつく日だけ休みだとか、「眼鏡がいけない」(生意気に見える)とか「扁平足がいけない」(立ち仕事で重労働なので、疲れたからとすぐ休まれると困る)とか、今なら訴えられそうな労働条件でも、娘たちは喜んで働いていたのだな。2022/10/01
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