内容説明
フッサールの他者論と倫理学には一見断絶があるように見えるが、それは『論理学研究』において、「伝達」が考察の枠外に置かれたことに端を発する。本書では草稿の分析から、『論研』の改版計画を境として「伝達」概念が重視されるようになったことを析出。両者の断絶の原因を探り、他者論をつきつめることでそれを埋める方途を探る。
目次
はしがき
序 章 間主観性の現象学への新たなアプローチ
1 間主観性の問題はどう論じられてきたか
2 「伝達」という概念の重要性
3 伝達の場面での他者経験から倫理学へ
I フッサールの他者論と倫理学の断絶の原因
第一章 『論理学研究』第一版における「独白」概念
本章の課題
1 『プロレゴーメナ』における論理学の構想
2 言語と意味と対象のあいだの鏡映関係
3 独白的表現への注目──告知機能と非客観化作用の度外視
4 伝達における告知と非客観化作用
本章のまとめ
第二章 『論理学研究』の書き換え以前の倫理学の構想
本章の課題
1 『論理学研究』第一版における価値判断についての考察
2 非客観化作用についての立場の変化
3 形式的価値論と形式的実践論
本章のまとめ
第三章 『論理学研究』の書き換え以前の他者論の構想
本章の課題
1 『論理学研究』第一版における告知の受容についての考察
2 ブレンターノ学派における「告知」概念
3 告知の受容と感情移入
4 超越論的現象学における感情移入論の位置づけ
本章のまとめ
II フッサールの他者論の展開とその到達点
第四章 『論理学研究』の書き換え計画における「伝達」概念
本章の課題
1 独白する主観から伝達し合う諸主観へ
2 新たな記号の分類
3 表現の受け手の持つ志向
4 相互理解の諸相
5 告知の受容としての他者経験
本章のまとめ
第五章 他者経験の理論の展開
本章の課題
1 他者経験の可能性の条件
2 共存するモナドの他者経験──感情移入
3 交流するモナドの他者経験──語りかけの受容と思考移入
本章のまとめ
第六章 他者経験の理論の到達点
本章の課題
1 『デカルト的省察』に至るまで
2 『デカルト的省察』第五省察の読解
3 「伝達の共同体の現象学」草稿の読解
4 「応答」と「欺く知覚」
本章のまとめ
終 章 フッサールの他者論と倫理学を架橋する
1 何が明らかになったのか
2 語りかけの受容における当為と実践
3 語りかけの受容の理論によるフッサールの倫理学の補完
4 語りかけの受容の理論とレヴィナスの倫理学の比較
5 社会性への遡行的な問い
おわりに
注
あとがき
要約(英文)
参考文献
事項索引
人名索引
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