内容説明
急速に変動する社会では、子どもや青年のみならず大人もまた、不断の生成を迫られる。その状況で求められるのは、子どもの「発達」や大人の「教育」を対象的に把握する理論ではなく、「ライフサイクルを通しての生成」と「世代間の相互生成」へ積極的にコミットする臨床的な人間形成論である。著者による臨床的人間形成論の集大成。
目次
はしがき
序章 啓蒙と臨床――臨床的人間形成論の確立のために
はじめに
一 本書の課題と構成
二 啓蒙の野蛮化へ向き合う
三 歴史としての啓蒙と運動としての啓蒙
四 「にもかかわらず啓蒙」へ
第一章 遠野、花巻、盛岡 一九一〇年
はじめに
一 〈遠野、花巻、盛岡 一九一〇年〉の時空間
二 離郷する自我――石川啄木
三 帰郷する自我――佐々木喜善
四 旅する自我――柳田国男
五 遍歴する自我――高村光太郎
六 里を二重視する自我――宮沢賢治
おわりに
第二章 死者との実存協同――田邊元
はじめに
一 科学と教育――ロゴスの行方
二 絶対媒介の意義と疑義
三 種の論理――個と悪の行方
四 懺悔道の哲学――自力の行方
五 「死の哲学」と「死者との実存協同」
第三章 生命鼓橋の世代間作り渡し――森 昭
はじめに
一 啓蒙と自律、臨床化と公共性
二 著作を読む(I)――『教育人間学』へ
三 著作を読む(II)――『教育人間学』
四 著作を読む(III)――『人間形成原論』へ
五 教育的公共性へ――文体と関係構築
六 「死者との実存協同」から世代継承的公共性へ――田邊元と森昭
第四章 世代継承的公共性の生成――大学教育に焦点づけて
はじめに
一 問題としての大学教育
二 大学における教員養成と公共性
三 女子大学における教員養成
終章 啓蒙の野蛮化に抗して世代継承的公共性を紡ぐ
一 啓蒙の弁証法へ向き合う
二 生成する公共性
三 教育的公共性と「半身の構えの連携」
四 世代継承的公共性を紡ぐ
五 「祈り」としての啓蒙と世代継承的公共性の生成
あとがき
文献
事項索引
人名索引
初出一覧
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