内容説明
100年以上にわたり、ヒューム哲学の解釈論争は「自然主義」解釈と「懐疑主義」解釈という対立を中心に繰り広げられてきた。本書は、主著『人間本性論』を哲学的探究の行為の叙述として追いかけながら、ヒュームの方法論的自然主義とそれを破滅させるように見える懐疑主義的展開がいかに整合的に統合されるのかを鮮明に描き出す。
目次
序
第I部 自然主義
第一章 「必然的結合」と因果推論
1 序 論
2 因果論の目的と方法
3 因果論の概要
4 必然的結合の観念とは何か
5 原因の二つの「定義」
6 小 括
第二章 「一般規則」の発生論的解釈
1 序 論
2 二種類の一般規則
3 その他の区別との関係
4 一般規則の三つの発生段階
5 小 括
第三章 情念論における「実験的推理法」
1 序 論
2 間接情念の体系─印象と観念の二重連合説
3 八つの実験における仮説演繹法
4 ニュートンの「分析と総合の方法」との類似
5 実験的推理法における「仮説」の形成と検証
6 小 括
第II部 懐疑主義
第四章 懐疑と自然
1 序 論
2 「理性に関する懐疑論」と二つの自然主義
3 「感覚能力に関する懐疑論」と二つの自然主義
4 小 括
第五章 ピュロン主義的メタ哲学
1 序 論
2 哲学探究に関する懐疑論
3 ヒュームの「懐疑的」諸議論
4 古代ピュロン主義との比較検討
5 ザ・ユニファイド・スケプティカル・アーギュメント
6 補 論─人格の同一性に関する議論について
7 哲学の懐疑主義的起源/懐疑主義の哲学的起源
結 論
註
あとがき
参考文献
英文要約
索 引