内容説明
叱られるとバツが悪そうな表情をするイヌ、メンドリを欺いて誘惑するオンドリ、ネコに愛情をそそぐカラス……。動物たちの豊かな感情や知性は想像以上に奥深い。ドイツで27万部のベストセラー。森林管理官が長年の体験と科学的知見をもとに綴ったエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字の旅遊人
45
うちのセキセイインコもいろんなことが分かっていて、声を使い分けているな、と感じる。本書は、動物たちにも心の動きがあります! ということを具体例を引きつつ教え諭してくれる。大変心が温まる。特に人間の食用として生を受けていたり、どうみても害のあるものとみなされている生き物に対する敬意が感じられて嬉しい。そう、僕らはそれらを利用させていただいているのだ。そのこと自体はむしろ受け入れるしかないのである。ローレンツ『ソロモンの指輪』よりは介入的な実験が少ないので安心感があるが、その分ややインパクトに欠けてしまう。2021/10/31
たまきら
40
「樹木たち…」が面白かったので他の著作も手に取ってみました。樹木の方が自分が知らないことなのですごく面白かったけれど、こちらは逆に自分が結構知っていることなので共感しながら読みました。ニホンミツバチを飼っているので、ミツバチの描写にはニヤッとしたり「いやいや、そんなことしないでしょ」な~んて思ったり。ヤギとイヌの話は実感がこもっていてにやり。2022/02/15
shikashika555
34
人と野生動物の関係は、生き延びるためにどちらかがどちらかを捕食する関係、もしくは適度に距離を置いた関係を保たねばならないのだが、それでもたまに奇跡のような「友好的?」な関係を感じる時がある。 ドイツの森林管理官による、人間寄り感情を見せる動物たちの観察記。 こういうのを読むととてもファンタジックで心が暖まる。 私もカラスとコミュニケーションをとってみたいものだなぁ。2025/02/06
niisun
24
「動物たちは何を考えているのか?」の副題通り、動物の生態や行動から、著者が、既存の一部研究成果も踏まえつつ、動物の心理を想像していく内容です。ドイツの営林署の森林官を20年以上勤めただけあって、自ら体感、実感した経験から想像する動物の気持ちには説得力のあるものも多かったです。一方で、様々な動物と家族として暮らしている愛情と贔屓目から、妄想や希望的観測も結構みられます。大学で造園を学んど私は植物への興味の方があるので、今度は、著者の世界的ベストセラーの『樹木たちの知られざる生活』を読んでみようと思います。2022/07/02
蝸牛
17
猛禽類から家畜、リス、イヌに至るまで作者の暮らしに基づいて細やかに分析した一冊で非常に面白かった。全編を通して母と子の繋がりの強さに感動するし(残酷さに泣かされるし)、動物たちが狡い行動を見せる原因は平たく言えば雄雌の性差衝動よって起こると知るや我々人間にも当てはまるようで決まりが悪い。ちょうど今はクリスマス・・・300頭も結集するトナカイの章、蜜蜂のオスバチが辿る結末、子ヤギの養育の章を話しの種にするつもりです。2023/12/23