創元推理文庫<br> 死の黙劇

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創元推理文庫
死の黙劇

  • ISBN:9784488447212

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内容説明

月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発“あさしお7号”/編者解題=戸田和光

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

geshi

27
解説にある手品文学という表現がピッタリの古き良き純粋本格推理は美点であり欠点。フェアに読者に挑戦する手つきは嬉しくなるぐらい好みだが、数を読むとトリックの勘所が分かってしまう。表題作が頭ふたつ抜けていて、小さな?を発端にしてアリバイの謎から隠された悪意が明らかにされる構成が見事。『銀知恵の輪』『金知恵の輪』は同じ将棋の駒を使ったトリックをどう使うか?という遊びが研究者的。『密室の夜』は冒頭とオチの繋げ方が巧い。単純なトリックに様々な思惑が絡む作風の変化が読み取れる。2021/08/24

タカギ

24
読みやすいし、書かれていることは簡単なはずなのに、内容が全然頭に入ってこない、そんな自分は、全く本格ミステリ脳の持ち主ではないようです。アリバイトリックがメインの短編が9編。探偵・砧や須潟刑事など、共通する登場人物も何人かいるが、話に繋がりはない。逆に、同姓の登場人物がいたりして少し混乱する。私は、証言者が嘘をついたり、共犯者がいたり、同じような内容の話が多いな、と思ったけど、その中でも違いを見つけるのが良い鑑賞の仕方であるらしい。2021/10/10

だるま

15
去年の夏に発行された本が、突然新刊として図書館に並んだ(地方の図書館あるある)。1950年代から一貫して本格物を書き続けてきた著者の代表作を集めた短編セレクション。アンソロジーに数多く録られていて、既読の作品ばかりだったが再読でも面白かった。いずれも犯人当てやアリバイトリックをメインに添えた本格物ではあるが、嘘の証言があったり単独犯で無く共犯者がいたりと、現代の本格ミステリからしたら少しズルい。トリックもオリジナリティに乏しい(その事は著者も認めている)。それでも緻密な作風はこの著者独特で、私は大変好み。2022/05/23

ツバサ

11
興味本位で読みましたが、ガッツリ本格短編集になっていて、細かなところまで見逃さないように気をつけないとさっぱりな難解さ。注意していてもやっぱり分からない。だがそれが良い。前半、後半で語り手が変わりますが前半の名探偵の方が読みやすいし好きでした。2021/08/04

コチ吉

9
鮎川哲也氏の畏友山沢晴雄の短編集。人物を潔いまでに駒の如く配し、アリバイの二重底とも言える奇術を披露してくれる。難解と言われる「離れた家」、続いて刊行される「ダミー・プロット」等々、楽しみだ。2021/09/11

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