内容説明
条約制限下、英米に対抗する強力な艦隊を編成するため、個艦優越に賭けた日本海軍がその性能を極限まで追求した精強無比の巡洋艦―排水量に比して膨大な装備を搭載し、驚異的な航続力と高速力を優美な姿に秘めた連合艦隊の軽騎兵の竣工時から最終状態までの全てを、写真・図版二百点と共にビジュアルに詳解。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
12
原題は「連合艦隊巡洋艦」で内容も日本海軍の巡洋艦に絞っている。とりわけ、その軽さに火力等の驚異的な高性能を兼ね備え、世界に衝撃を与えた「古鷹型」、その圧倒的な完成度から、戦艦以外の軍縮をも促した「妙高型」は、この二つだけで全体の三分の一を使うほど特筆され、著者にもべた褒めされている。独自の章はないが十分言及されている天龍型から利根型、阿賀野型、そして艦これには実装されていない練習艦の香取型まで、日本海軍の巡洋艦のスペック、代表的な戦いが豊富な図版付きで語られる2014/05/04
NICK
6
日本帝国海軍の巡洋艦を解説するもので、重巡は古鷹型から利根型、軽巡も天龍型から最後期の阿賀野型まであますところなく紹介されている。図版も多く、巡洋艦の魅力がわかりやすい。軍縮条約によって戦艦の新造が事実上できなくなったあと各国はこぞって巡洋艦の設計を始めた。そのなかで古鷹型、妙高型は世界から驚かれる性能を誇り、その後に続く高雄型や利根型、阿賀野型なども非常に高性能だったそうで日本の造船技術の高さがうかがえる。海戦では巡洋艦が前線でドンパチすることが多かったわけで巡洋艦というのは海戦の要だったのかもしれない2014/06/25
零水亭
3
日本の重巡は(他の艦種にも言えるが)攻撃力重視、防御力軽視の傾向がある。特に主砲は発射速度重視で米英のそれよりも砲塔の装甲は薄かったらしい。高速発揮のための細長い船体は居住性が犠牲になるし、第四艦隊事件も想起されるように華奢な印象も強い。しかし、しかし、軽巡「夕張」、特型以降の駆逐艦も含めて、平賀譲、藤本喜久雄らのデザインには仏像や日本刀にも似た、問答無用の美しさがある。無骨な米英の重巡も悪くはないのだが、美しさの欠片もない。 古鷹さん、好きじゃあ〜っ!オレ、古鷹さんの作った味噌汁飲みたいっ…2020/11/29
おっくー
3
入門シリーズで読み続けている本。とにかく日本の造船技術がすごい。また、自分はすごく変態だと思う。巡洋艦の写真を見てつい、にやける。巡洋艦は美しい。次は駆逐艦でもよもうかな。2014/10/06
好古
2
佐藤和正氏の著作はどれも初心者にとって非常にわかりやすい。その兵器を開発するに至った経緯から、長所、短所、その活躍と、専門的になりすぎず、平易な文章で易しく説明してくれるが日本艦をほめ過ぎでは…?と思わなくもない。本書を読むと、ただの外見的特徴としか認識していなかったものが、ちゃんと運用上の目的を持って設計された意味を持つものであることがわかる。そうした「発見」がある本は面白い。日本の巡洋艦は来るべき艦隊決戦の「尖兵」としての役割を与えられており、軽巡洋艦は駆逐艦隊の指揮艦としての役割も持つ。【以下備忘】2025/03/04