内容説明
近づいたかと思えば遠ざかり、遠ざかると近づきたくなる、意識した瞬間にするりと逃げてしまうもの――。
十年ぶりに再訪したはずの日本(「胡蝶、カリフォルニアに舞う」)、重ねたはずの手紙のやりとり(「文通」)、何千何万年も共存してきたはずの寄生虫(「鼻の虫」)、交換不可能な私とあなた(「ミス転換の不思議な赤」)。
ドイツと日本の間で国と言語の境界を行き来しながら物語を紡ぎ、『献灯使』で全米図書賞(翻訳部門賞)を受賞するなど、ますます国際的な注目が集まる言語派作家・多和田葉子さん。「移動を続けること」が創作の原動力と語る著者が、加速する時代の速度に飲み込まれるように、抗うように生まれた想像力が鮮烈なイメージを残す7つの短篇集。
※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンタマリア
33
難解。解説が解説してて助かったー。『胡蝶、カリフォルニアに舞う』の主人公が”I”の理由はなんとーく分かっててついていけた。『文通』はストーリーが凝っていて楽しく読めた。後は…。2023/04/20
大粒まろん
25
楽しく読みました。多和田さんは言葉遊びが好きだ。そしてちゃんと裏切ってくる。その裏切り方が厭じゃない。ま、そこが感想の分かれ目かな。私はやはりこの人とは相性が良いのだろう。どこが面白いと聞かれても、上手く答えられないけど笑。大体タイトルのセンスww アナグラムなの?内容もそうだし。パラレルワールド的な設定なのだけど、そこにもちゃんと一癖ある。彼女には根底に確固たる基盤があり、そこに綿密な破壊が構築されていて、それは法螺と嘘のような大きな違いがあると思う。とか言ってみる。と、それらしいかな笑。2024/06/21
ちょん
22
うぅぅぅ難しかった。青江誰だ。もっと丁寧に読んだらもう少し理解できたかな?理解はしなくていいのかな?「鼻の虫」は比較的分かりやすくて脳内再生しながら読めました。不完全燃焼、またチャレンジしたい!2025/08/07
TSUBASA
19
ロシアを舞台に魚籠透(ビクトル)とわたしは那谷紗(ナターシャ)の住む地区で行われるささやかなイベントに参加する表題作ほか全7編の短編集。言葉遊びの中でどこか現代社会の輪郭を描き出してるような作品。言葉遊びに翻弄されるばかりで本質的なところを受け取れなかったのが正直なところ。日本で職を求めるもアメリカ生活のノリしか知らないIは後ろめたさや不安を感じる『胡蝶、カリフォルニアに舞う』、書籍に載せるポートレートが中々届かない中悶々とする『おと・どけ・もの』が良かったかな。2022/10/29
びっぐすとん
19
110円本。リカちゃんで呆けた頭にはパンチが重い。相変わらずの多和田ワールド。理解とはほど遠いが感じるところはある。漢字の変換ちがいやわざとひらがな表記にする言葉への感覚の鋭さ、ユーモア。異世界でも平行世界でもない、私たちの世界のなかの歪んだ部分あるいは裏側。見えないものが見えるようになるまで感覚を研ぎ澄ませたら、多和田さんの世界を体感出来るのだろうか?2022/09/13




