中公新書<br> サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

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中公新書
サラ金の歴史 消費者金融と日本社会

  • 著者名:小島庸平【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 中央公論新社(2021/06発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026347

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内容説明

個人への少額の融資を行ってきたサラ金や消費者金融は、多くのテレビCMや屋外看板で広く知られる。戦前の素人高利貸から質屋、団地金融などを経て変化した業界は、経済成長や金融技術の革新で躍進した。だが、バブル崩壊後、多重債務者や苛烈な取り立てによる社会問題化に追い詰められていく。本書は、この一世紀に及ぶ軌跡を追う。家計やジェンダーなど多様な視点から、知られざる日本経済史を描く意欲作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

167
サラ金に一切の関りも興味もないが、この本は実に面白い。一業界の産業史として見事であるだけでなく、家計の分担構造、銀行の役割、資本自由化、法規制などの戦後日本の経済史が、この仇花のような業態を通じて見えてくる。サラ金には、高度な金融技術による信用管理という先進的な部分と、「人」の感情労働に依存した債権回収という両極がある。「サラ金被害」という社会問題にも徒に感情的になることなく、この業態の二つの側面を正当に評価して論じる著者の姿勢は、非常にフェアである。生き生きとした文章に著者の魂を感じる、いい本だと思う。2022/02/24

遥かなる想い

120
2022年新書大賞受賞作。 負のイメージが強い消費者金融の歴史である。 サラ金が貧困層のセイフティネットを代替する という奇妙な事態の来歴が興味深い。 サラ金を視点に戦後からの個人消費の歴史を 描写していく…銀行が 消費者向け金融に 融資する構図も 不思議なのだが… 主要なサラ金企業の多くがメガバンクの傘下に 入った今、サラ金とは何だったのか?振り返るにはちょうど良い、そんな作品だった。2022/05/06

KAZOO

115
サラ金というとイメージが若干悪いのですが、闇金よりかははるかによくなってきているのでしょう。その歴史を地道に調べ上げたのがこの本で今までにない分野の本で庶民金融の面から参考になりました。私は質屋が原点と思っていたのですがそうではないのですね。団地金融などという言葉もあったようです。最近はほとんどメガバンクの傘下に入ってしまっています。みずほは持っていなかったのでJ’sScoreという会社をつくりました。本当は金利が安いのはプロパー融資、カードローン、サラ金とくるのでカードローンを持てない人々が借りるのです2022/05/02

アキ

109
かつて道路沿いにプロミス、アコム、アイフルのATMが数多く設置されていた。大正時代に生まれたサラリーマン金融は顔見知りの間で行われる個人間金融が源流だという。質屋という個人向けの融資は、1960年代からサラ金にとって変わられた。年金利が100%を超える貸金とサラ金業者の異常な取り立てや多重債務が社会問題になっても、問題の解決は2007年改正賃金業法施行まで長引いた。現在は上限金利が20%に規制され銀行の傘下にある。金が金を生むという魔力に、貸す側も借りる側もお金に翻弄される人間の弱さを垣間見る思いでした。2022/11/19

fwhd8325

109
ここで言うサラ金はヤミ金とは違います。強烈な取り立てがイメージとしてつきまといますが、返さなければいけないもの、支払わなくてはいけないものを滞納すれば、民も官も同じようなものと思っています。サラ金の雄だった武富士は消滅し、他の大手は銀行傘下に入る現実を見ると、汚れた歴史を作らせておいて、クリーンなイメージで銀行が乗っ取った図式だと思います。読み物として圧巻の面白さを感じました。2022/04/29

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