ちくまプリマー新書<br> 生きのびるための流域思考

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ちくまプリマー新書
生きのびるための流域思考

  • 著者名:岸由二【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2021/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684059

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内容説明

かつてない量の雨が日本列島を襲っている。頭上の雨だけを見ていても水土砂災害は分からない。雨は流域で集められ、災害を引き起こすからだ。生きのびるために、いまこそ、流域思考を身に着けよう!

目次

長いまえがき〈なぜいまこの本を出版するのか〉
豪雨災害の時代がはじまっている
「流域」を知らないと命が危ない
足元の「流域」から都市を考える
第一章 流域とはなにか
1 流域の基本構造
地球は水循環の惑星だ
流域を多面的に理解しよう
流域がつくり出す流水の姿
2 流域の水循環機能
流れる水と地面の関係
雨水はどのようにして川の水になるのか
3 「流域」の機能を理解するための基礎知識
ハイドログラフって?
降雨のパターンで見てみよう
保水と遊水
大きな森は大きな保水力を持っているから安全!?
急傾斜の流域では
流域の形と流出パターン
雨のパターンで考える
4 流域治水の時代がやってきた
なぜ流域治水へと大転換したのか
あふれさせる治水とは
〈コラム〉流域という日本語について
流域の英語について
河川・水系・流域
洪水
第二章 鶴見川流域で行われてきた総合治水
1 鶴見川では流域治水が四十一年前から
鶴見川はどんな川?
いち早く「流域思考」で新しい治水方式に取り組む
総合治水・流域整備計画はどのように行われたのか
大規模緑地で生物多様性モデルを保全
2 目に見える成果が出た
大氾濫が止まっている
三〇〇㎜規模の豪雨でも大氾濫しない川に!
大型台風襲来も多目的遊水地が大活躍しラグビーの試合は開催
一五〇年に一度の豪雨を想定
流域思考は応用が利く
3 総合治水を応援する市民や企業が登場
TRネットの登場
環境分野での連携が鍵
総合治水対策から水マスタープランの流域へ
4 流域開発への対応から温暖化未来への挑戦
流域規模で都市構造から考え直さなければ
5 総合治水の流域拠点探検隊
河口~源流~そして再び河口へ
6 流域治水はこれからどんな道を歩むのか
鶴見川流域の実践はモデルとなるか
自然と共生する持続可能な都市づくりを支える流域思考
第三章 持続可能な暮らしを実現するために
1 生命圏再適応という課題
地球環境は危機の真っただ中
わたしたちと地図の関係
流域地図を共有しよう
2 さらに先の未来を考える
流域は大地の細胞
流域思考で生命圏に適応してゆく
3 鶴見川流域での三つの実践
流域学習コミュニティを工夫し励ましてゆく
流域スタンプラリー
水マスタープラン応援の実践拠点
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

118
この1週間、日本全国で豪雨が続いている。豪雨のたびに川が氾濫してしまう。この本は川、特に流域と呼ばれる川の単位でみる必要性を書いたものになっている。流域とはここでは川の上流から下流にある大地すべてを指している。上流で大雨になっていて自分のところは降っていないから安心だとは思ってはいけない。大地に保水されなかった水は必ず川から降りてくる。そのことの重要性を理解できた。またここでは鶴見川での流域思考的治水政策について多く触れられている。こんな風な政策が全国で行われてほしいと思う。今の時期に読めてよかった!2021/08/18

yyrn

28
以前出向した会社の広い駐車場は、建物から遠い東側から通勤車が埋まっていくので、社員の意識の高さに感心していたら、ほとんどフラットに見える駐車場でも東西で30cmほどの高低差があると教えられ、豪雨で近くの川が氾濫し辺り一面水浸しになった時、東側に留めた車だけが助かったというのが真相で、知っていると知らないとでは、ことほど左様に大きな差が生じる。▼この本は40年に及ぶ鶴見川の流域河川対策を例にとり、ハードとソフト、行政と学者や市民との協同による様々な、かつ上流・中流・下流ごとの対策について丁寧に解説しつつ、⇒2021/08/31

Sakie

22
水害を防ぐための方策は、排水機能強化やハザードマップ作成に限らず多岐にわたる。人の生活を守る取り組みは奥深い。さて、市街地化が進むと土地の保水・遊水力は低下する。その変化がハイドログラフに歴然と現れており、すなわちそれは豪雨災害の激甚化を意味する。温暖化による雨量の増加も考え合わせると、ますます事態は悪化すると予想される。治水(国土交通省)だけではない、環境保全(環境省)や農地保全(農林水産省)、森林保全(林野庁)も横断したグリーンインフラの構築が喫緊である。道筋はここに示された。あとはやるだけ。2023/02/08

羊山羊

15
治水の新たな1冊。今までの単純な護岸工事や周辺地域の被害も織り込み済みの「あふれさせる治水」から流域治水へのアップグレードを主張する。その一例として著者の原体験と直結する鶴見川が出てくる。長年の大水害の回避のため、保水・排水・遊水地の確保に行政の垣根を超えて協力してゆく様が見て取れる。正直、常に水害どころか渇水の危機にさらされる香川県民にとっては実感の薄い本だったけど、読み易いのでぜひ読んでみてほしいと思う。2022/10/10

いくら丼

11
めちゃくちゃ面白かった。本当に、めちゃくちゃ、面白かった……。ちょっと、面白いと思った観点が色々ありすぎて、逆に何を書けば良いかわからない。ちくまプリマー新書は初めて知ったけど、多分私の性格とめちゃくちゃ相性が良い。というか巻末広告全部読んだのは多分初めてだよwwいくつか買うべき本もあった。本書籍は毎週聴いているラジオ番組、「いのちの森 voice of forest」からです。あの番組って、本当に凄い人呼んでいるんだなと改めて……というか、なんだこれ文章が、噛み砕き方が、うますぎるっ……!(頭抱え)2022/03/23

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