ちくま新書<br> すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった ──笑いと日本社会の現在地

個数:1
紙書籍版価格
¥968
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま新書
すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった ──笑いと日本社会の現在地

  • 著者名:太田省一【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074133

ファイル: /

内容説明

1980年代初頭、多くの人が「漫才ブーム」に熱狂した。その影響のもと、私たちは何かあればボケようとし、それにツッコミを入れるようになった。笑いが、重要なコミュニケーション・ツールとなったのである。そこにおいてシンボル的な存在となったのが、タモリ、たけし、さんまの「お笑いビッグ3」だった。先鋭的な笑いを追求して90年代に台頭したダウンタウン、M―1グランプリから生まれた新潮流、そして2010年代に入って頭角を現した「お笑い第7世代」……。今なお中心的存在であり続ける「ビッグ3」を軸に、日本社会の「笑い」の変容と現在地を鋭く描き出す!

目次

序章 笑いは世界の中心に──なぜいま、タモリ、たけし、さんまなのか?
2018年に起きた〝事件〟
「お笑いビッグ3」誕生の瞬間
可視化された「笑う社会」
笑いは世界の中心に
漫才ブームと「ビッグ3」それぞれの関係
「笑う社会」に変化の兆し
本書の流れ
第1章 「お笑いビッグ3」、それぞれの軌跡──80年代まで
1 変わらぬ趣味人・タモリ
ジャズとの出会い
ルール嫌いの森田少年
一度目の上京
二度目の上京
遅れてきた大学生
「恐怖の密室芸人」
変わらぬ趣味人
2 理想の悪ガキ・ビートたけし
貧乏と悪ガキどもの世界
母の教育
「みな っ八」にみえた新宿時代
即興芸としてのコント
「ひとり団塊世代」たけし
コントから漫才へ
理想の悪ガキ
3 笑いの教育者・明石家さんま
学校の人気者
落語家からタレントへ
吉本新喜劇とテレビ、その密接な関係
最初のテレビっ子芸人
転機となった『ヤングおー!おー!』
『オレたちひょうきん族』で全国区の存在に
「笑いの教育者」としてのさんま
第2章 「お笑いビッグ3」とダウンタウンの台頭
1 ダウンタウンの東京進出と「お笑い第3世代」
芸人世代論の始まり
NSC、誕生
尼崎というルーツ
ダウンタウンの苦闘
「2丁目現象」で若者のアイドルへ
「お笑い第3世代」と『夢で逢えたら』
テレビを遊び場にしたとんねるず
お笑い第3世代・ダウンタウンの試練
2 ダウンタウンが起こした〝革命〟
東京での初冠番組『ガキ使』
『ガキ使』フリートークという革新
『ダウンタウンのごっつええ感じ』スタート
突破口になった「おかんとマーくん」
「トカゲのおっさん」という到達点
視聴者が芸人に試される関係に
松本人志の使命感と『ごっつ』の終了
3 「お笑いビッグ3」とダウンタウン
「しょーがねーなー」という立ち位置
北野武と松本人志の類似点
お笑いから離れ始めたたけし
MCの時代をリードしたさんま
さんま vs. 素人
タモリとオチのない笑い
趣味人・タモリへの道
芸人世代論はなぜ1990年代に定着したのか?
第3章 『M‐1グランプリ』と「お笑いビッグ3」
1 ダウンタウンが「スタンダード」に
「前衛」から「スタンダード」へ
『24時間テレビ』のダウンタウン
ダウンタウンを中心にした「笑いの共有関係」
島田紳助という理解者
2 『M‐1グランプリ』という〝実験場〟
『M‐1グランプリ』誕生
松本人志、M‐1の審査員になる
M‐1の本質とは?
「ボケとツッコミ」の〝実験場〟と化したM‐1
キャラクターのショーケースとしてのM‐1
ひな壇番組の意味
3 2000年代の「お笑いビッグ3」、それぞれの道
さんまとM‐1
さんま、「お笑い怪獣」になる
孤高の存在となったさんま
「武」と「たけし」の〝ふれ幅〟効果
「くだらなさ」の美学とその行方
散歩する趣味人・タモリ
〝理想の大人〟となったタモリ
2010年代に向けて
第4章 笑いの新たな潮流
1 お笑い芸人とユーチューバー──ネットの笑いはヌルいのか?
お笑い芸人は知的?
〝芸人至上主義〟の背景
ユーチューバーの台頭
お笑い芸人 vs. ユーチューバー
「ヌルさ」の意味
〝二刀流〟芸人の登場──テレビからYouTubeへ
2 「お笑い第7世代」と「やさしい笑い」
M‐1の復活
霜降り明星、そしてぺこぱのM‐1
「お笑い第7世代」の誕生
お笑い第7世代と「卒‐ダウンタウン」
「やさしい笑い」の時代──さんまからサンドウィッチマンへ
3 「肯定する笑い」の時代へ
漫才ブームの歴史的意味
「一億総中流」意識の揺らぎ
オタクの大衆化
テレビと社会のずれ、それに伴う笑いの変容
「相互性の笑い」という新潮流
テレビとネットを横断するフワちゃん
「子ども」という戦略
他者を肯定する笑い
最終章 「笑う社会」の行方──「お笑いビッグ3」が残したもの
「あれは漫才なのか」論争
「漫才に定義はない」
上書きれた漫才の歴史
「お笑いビッグ3」から「お笑い第7世代」へ
あとがき
参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ykmmr (^_^)

124
日本のイチ文化として、重要な『お笑い』。今は『第7世代』にバトンが渡っている。時代が移るのと一緒に変化があり、サンドウィッチマンを筆頭に、ダウンタウン以降の『新潮流』にあたると言う。私の中では、ビッグ3やドリフターズたちの、「身体を張るお笑い」→今の、「コミュニケーションのお笑い」への移行程度に思っていたが、それだとまだまだ視野が狭いと言うことだ。映像上の制約や道徳観念・安全観念も問われる事で、変わって行ったとも、自分では思っているが、同調性→相互性への移行も、こういったものが繋がっているんだろう。2022/05/08

ホークス

39
2021年刊。笑いの大河ドラマみたいな批評。まず1970〜80年代に笑いが重要なコミュニケーションツールになった、と指摘した上でビッグ3を分析する。タモリは趣味人で、何より趣味を優先し時代を先取りした。たけしは悪ガキで、社会よりも日本的な世間を攻撃した。さんまは教育者で、ボケとツッコミをハイレベルで体現した。ダウンタウンら第三世代と第七世代、テレビを相対化しつつあるフワちゃんなどの分析も面白い。今は文化の転換点で、課題は「同質性を前提としない笑いをいかに構築するか」だと言う。この捉え方も未来志向で好き。2021/08/31

緋莢

19
1980年代初頭の漫才ブームをきっかけに、日常生活に浸透していった〝笑い”。タモリ、たけし、さんまのBIG3から始まりダウンタウン、そして、現在の第七世代までの変遷について書いています。<漫才ブームには、いわゆる「吉本のお笑い」の全国区化という側面があった>、「ガキ使」でダウンタウンが行ったフリートークは、それまでの「もっともらしいウソ」とは違い、「ウソらしいウソ」というのが革新的だった、そして、M-1が始まり(続く2023/03/08

ライアン

15
ビッグ3だけでなくダウンタウンについても触れているけれどいかにも学者さんが書きそうな内容ではある。40年以上第一線で活躍しているというのは、確かに異常ではあるけどね。自分的には世代的にたけしさんとさんまさんにどっぷりとはまったね2021/07/16

スプリント

10
BIG3は一つの時代だった。 コンプラが厳しくなった現代では芸人さんも破天荒な伝説を残しづらいし長期にわたって活躍することはもっと困難になるだろうと感じた。2025/06/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18135766
  • ご注意事項

最近チェックした商品