センセイの鞄

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¥1,540
  • 電子書籍

センセイの鞄

  • 著者名:川上弘美
  • 価格 ¥1,232(本体¥1,120)
  • 平凡社(2021/06発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784582829617

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内容説明

「センセイ」は私の高校時代の古文の先生。十数年ぶりに再会したセンセイと私の、セツセツとした淡き恋の行方は? 人気女流作家のオカシくて、哀しい最新長編恋愛小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiace9000

140
川上文学、味読。否むしろ耽読か。ゆるやかな感情の起伏のうねり、その所々の些細な凹凸をも見落とさず、また踏みつけることなく慈しみ描き、平穏に生きる時間のつながりまでもを余すことなく丁寧に掬いあげるしなやかなる匠の筆致と美しい文章。それを読み耽る心地よさ。ゆえにツキコさんがセンセイから頭をぽんぽんされる心地よさは、単なる動作ではなく奥深い心情まで滲み出できて実感を伴い伝わるのだ。老成したかに見える大人の、未熟で未完な部分を補うように少しずつ距離が縮まるもどかしさ…。読み手の世代で異なる味わいも実に妙なるかな。2023/07/23

らむれ

108
「ツキコさんはほんとうにいい子ですね。」あぁ、なんてやさしくてやわらかい恋物語。川上さんのまろやかな文章が素晴らしい。少し悲しいけれど、満ち足りて幸せな気分で読了。先生の所作にきゅんとしたな~♡ケイタイを”携帯電話”と呼ぶ先生の美意識も好き。初めての川上さんなのですが、すごく繊細で独特な感性を持った人なんやろなーと、言葉の選び方から感じます。見慣れない擬音語も、たぶん川上さんの耳にはそういうふうに聞こえてるんだろうな。装丁と紙の選び方が秀逸。ツキコさんの大事な日記帳、という趣。センセイ、大好き。2015/10/08

消しゴム

96
再読。川上弘美先生の作品の中で一番好きです。大人の純愛・恋物語。相手を思いやる気持ちに溢れていて、こんなにもピュアな小説は無いのではないかと思う。プロ野球の試合の結果で喧嘩したり、二人ともいい大人なのにとても可愛い。好きなお酒を飲んで、夜中に俳句を作ったり、つかず、離れず。紳士的に。淑女的に。淡い交際。センセイとツキコさんの人柄がなんとも言えない。形見のセンセイの鞄には何も入っては無いけれど、暖かな優しい想い出がいっぱい、つまっているのでしょうね。きっと、ツキコさんの一番の宝物ですよね。2015/08/09

momogaga

71
読み終わって、こんな恋愛をしてみたいと思いました。映画ではツキコさん役を小泉今日子が演じていますが、はまり役ですね。2015/03/30

Rosemary*

67
「センセイ」と「ツキコさん」二人を包むゆったりとした空気感と、丁寧な言葉のやり取りが心地よい。ツキコさんの揺れ動く心のひだが丁寧に描かれているとともに、センセイもそれ以上に罪悪感や葛藤に苛まれていたことが垣間見れる。英断の末の幸せは時間で見ると儚いものであったが、ツキコさんは一生ぶんの温もりを鞄に詰め込んだであろう。2014/11/23

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