講談社学術文庫<br> パラダイムとは何か  クーンの科学史革命

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講談社学術文庫
パラダイムとは何か  クーンの科学史革命

  • 著者名:野家啓一【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2021/06発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061598799

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内容説明

トーマス・クーンという名前を知らない人でも、また科学史や科学哲学などの分野に縁のない人でも、「パラダイム」という言葉なら聞いたことがあるに違いありません。
いまや日常語として「物の見方」「考え方の枠組み」の意味で使われているこの言葉は、もともと1962年刊『科学革命の構造』というクーンの著書の中で語られたもので、「一定の期間、研究者の共同体にモデルとなる問題や解法を提供する一般的に認められた科学的業績」を意味していました。
この概念は、それまでの「科学革命は17世紀に起きた1回きりの大事件」という科学史の常識を覆す衝撃的なもので、「<科学>を殺した」といわれたほど、大きな影響を及ぼしました。
パラダイム・シフトは歴史上何回も起こり、それは社会・文化の歴史と密接な関係があるとするクーンの見方は、フーコーが人文科学的知の布置の変化を考古学的方法によって解き明かしたと同じスタンスで、「知」の連続的進歩という通念を痛撃しています。
本書は二十世紀終盤の最大のキーワードとも言うべき「パラダイム」の考え方を面白く、わかりやすく説くものです。

●主な内容
第1章 <科学>殺人事件
第2章 科学のアイデンティティ
第3章 偶像破壊者クーンの登場
第4章 『科学革命の構造』の構造
第5章 パラダイム論争
第6章 パラダイム論争の行方

【原本】
『現代思想の冒険者たち クーン パラダイム』1998年 講談社

目次

第1章 <科学>殺人事件
第2章 科学のアイデンティティ
第3章 偶像破壊者クーンの登場
第4章 『科学革命の構造』の構造
第5章 パラダイム論争――<科学>殺人事件の法廷
第6章 パラダイム論争の行方

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

41
本書はクーンの思想と生涯を紹介した本を文庫化したものですが、パラダイムという言葉を学ぶためには最適だと思います。第5章までは科学殺人事件の容疑がクーンに掛かり、その容疑事実、検事からの尋問、クーンによる弁論と法廷を擬した判決を下すのは裁判長ポパーという落ちになっています。第6章はまとめのようになっていますが、実はこの章の議論が示唆に富んでいると思います。前半ではポパーとクーンの両者の思想は決して対立するものではないという議論がなされています。後半では、批判され半ばクーン自身が使わなくなったパラダイムという2022/03/26

空虚

15
①拡大解釈され世に流通する「パラダイム(・シフト)」という言葉が持ち得る爆発的なイメージに比べて、クーンが用いた「パラダイム」の原義は、一見すると地味なものであるが、科学の現場に根ざしたものだ。例えばパラダイムという概念と不可分の関係にある「通常科学」は、ある科学的業績に依拠する特定の科学者共同体の内部で行われる研究を意味する。その内部では科学者達は語学の学生が文法を学ぶように、教科書的に模範例を学び訓練する。だからといってクーンは、科学の創造性やその進化を否定するのではない。むしろその逆だ。2016/05/07

Olive

11
野家先生、クーンの理論に寄り過ぎ。 中立的立場から見るには注意が必要な本。 でも面白かった。 〈科学〉に対する殺人容疑を裁判に見立てる5章が特に面白い。もちろん被告人クーンと裁判長はポパーだ。2022/10/07

ハチアカデミー

7
いまではすっかり言葉として定着した「パラダイム」という概念を、最初に提示したクーンの意図にそう形で解説した一冊。科学史の研究者であったクーンは、科学が「発展」をする過程で、知識の土台が大きく変わる時期があることに着眼し、特定の時代に特定の集団が共有する前提をパラダイムと呼び、その変化をパラダイム・チェンジと表現する。その言葉の力は、科学史へのみならず、知識そのものへとインパクトを与える。コスモスの解体、ロゴスの解体は、人類の世界認識のありようの見え方まで変えてしまったのだ。ゲシュタルト・チェンジ、辞書…2014/10/01

壱萬参仟縁

5
1998年初出。意外に科学とは何か? という問いに即答できない。科学とは、分科(専門科目の科)、或いは、百科の学(36ページ)。学問全体とも。scienceの邦訳はないのが実態か(37ページ)。サイエンスの語源はラテン語のscientia(スキエンティア)で知る、知識。知っているか、知らないか、だけが問われるのでは寂しいのではないか。疑問をもってそれを一つずつ解明していく。こうした積み重ねなくして、科学の市民化は果たせないと思える。こうした泥臭さを小ばかにして効率だけで結果だけを問う社会では問題があろう。2013/01/04

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