内容説明
乃木坂46は、現代のアイドルシーンのなかでグループ全体としても個々人としても絶大な人気を獲得している。彼女たちが支持される背景には、どのような社会的な価値観の変化を見いだすことができるのか。
乃木坂46の舞台演劇への傾倒に着目して、アイドルが「演じる」ことの意味を解きほぐす。そのうえで、ミュージックビデオやドキュメンタリー、ライブパフォーマンスなどを読み解き、2010年代のアイドルシーンが築いた代表的な特徴である「選抜」「事件」「戦場」にためらいを示すことで、乃木坂46が独自の魅力を手にしたことを明らかにする。
アイドルという職能と専門性、〈少女〉とエイジズム、選抜と序列化、個々人のパーソナリティを消費対象にすることで生じる抑圧、理不尽な慣習――。アイドル文化が抱える課題も指摘しながら、乃木坂46がそれらと対峙して獲得した「静かな成熟」、それを可能にする社会的なコンテクストを浮き彫りにする文化評論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
6
AKBグループは公立の中学校。 坂道グループは私立の中学校。 そんなイメージ。2020/11/01
静かな生活
3
71点*個人的には現在のサブカルチャー領域の中でもトップレベルで手堅いパフォーマンスを発揮しているのに、評論が追いついていない乃木坂46。アニメ領域における過剰にドラマに執着するセカイ系からドラマを手放す日常系の流れを連想した。もう無理にアイドルを祭り上げる必要はない。批評性というより資料性が高いタイプ。2020/04/26
Jey.P.
1
乃木坂46の活動を中心にアイドルが「演じる」ことを考察した本。主体・客体、実・虚は連続的だ。アイドルの所作を媚びていると断じると主体性を過小評価することになるが、かと言って抑圧的な旧弊も否定できないという本書後半の議論から連想したこととして、近年流行の「あざとい」の捉え方の変化は、女性が男性を操作するという「強さ」の表れと考えていたが、巨視的に見たときに既存の構造やハイパーメリトクラシーが当然視され、抗う意欲がなくなった非主体的な面もあると感じた。そういう意味で日向坂がアザトカワイイを歌ってるのは象徴的2021/06/01
taisei
1
特に目新しいことが書かれているわけでもなく、資料性の高い本という印象。
匿名
1
乃木坂46というグループにおける、戦略としての演劇の活用だったり、またその前段階として、アイドルグループとして基盤を作ったAKBについてなどをうまくまとめています。乃木坂46の設立経緯については、ここに出ている話以上に、ソニーへの秋元康のお詫びという側面などもありますが。 何れにせよ演劇というフィールドに限らず、アイドルが外様にならないためにどうするか?だったり卒業という儀式の必要性なども関心が低い人にも受け止められる内容になっています。2020/05/01
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