内容説明
2.5次元文化は、アニメ・マンガ・ゲームの虚構世界を現実世界に再現して、虚構と現実のあいまいな境界を楽しむ文化実践である。コスプレ、アニメ聖地巡礼、声優/キャラコンサート、応援上映、2.5次元舞台・ミュージカル、Vチューバーなど、2.5次元文化は裾野を広げながら日々深化している。
本書ではまず、2.5次元の言葉の定義や歴史を押さえたうえで、舞台・ミュージカルに焦点を当てて、声優との関係、宝塚歌劇や特撮ものとの差異を考察する。さらに、前史として重要な舞台作品『聖闘士星矢』『HUNTER×HUNTER』『サクラ大戦』を解説し、転換点になったミュージカル『テニスの王子様』『美少女戦士セーラームーン』、人気の『刀剣乱舞』『ハイキュー!!』の詳細な読解を通じて2.5次元舞台の特徴や魅力を明らかにする。
劇場に足を運び、舞台関係者やファンへの取材や海外を含む多面的な調査を重ねてきた著者が、2.5次元の世界を熱量あふれる筆致で描く初の研究書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
3
広くコンテンツ産業論をやりたい人には必読だと思います。本書を読めば、コンテンツ産業のぼろ儲けの芯が何なのかがよく分かります。フィクションとリアルの間のあいまいな世界にできるイメージこそがこの業界の主力商品なのです。誤解や勘違いも含めて表現と消費の間に偶然蓄えられるイメージを計画的に利用しようとしたのがメディアミクス下のコンテンツであって、演者の才能も作品の魅力も、これを煽るためのセットに過ぎないということです。ブランドも似たものを売っているように思うので、本書の議論はより普遍的なものにつながるものです。2023/09/16
天乃かぐち。
2
電子図書館。 2024/08/20
ぷほは
2
要素が多いのに外から見えにくい現在進行形の現象をまとめている労作。マンガアニメゲームアイドルといった領域のメディアミックスだけでなく、日本の演劇史に関する研究蓄積を踏まえれば、より立体的な議論になっただろう。またキャラクター論や虚構的身体については、西欧哲学の人格論や「王の二つの身体」などの政治思想史、ベンヤミンの芸術批評なんかも参照すれば、プロジェクションマッピングや役者の自己言及的演出について解像度が上がったはずだ。しかしそれは作者に求めるんではなく、私が書くべき議論だろう。H×HRは俺も聴いてた!2023/01/12
ハネ
1
卒論用資料
Go Extreme
1
2.5次元文化の隆盛:意味の変容 声優 マンガ・アニメの舞台としての2.5次元 背景:キャラクターとその共有・消費・利用 リアリティ認識とコミュニケーション様態の変容 参加文化 2.5舞台とはー虚構的身体性とファンの相互作用:歴史と社会文化的背景 キャラクター・キャストの虚構的身体性 相互参照的メディア横断ナラティブと虚構的新体制 2.5次元舞台の成立と展開:アニメミュージカル 2.5次元舞台の誕生 2.5次元舞台ファンと嗜好の共同体としてのファンダム:ファンダムの可能性と課題 弱いつながり2021/02/28
-
- 和書
- 監禁探偵