内容説明
世界を滅ぼす邪神の眷属への対抗手段である“遺物”。
それを扱う才能を持たぬ【亜人】を純血人類たる【貴族】が従属させ、確固たる身分制度が敷かれた時代。
そんな千年後の世界に蘇った英雄・セロトは、人類の衰退ぶりに愕然としつつも、とある問題の解決のため、貴族の身分を得て、全ての叡智が眠るという【学院】に通い始める。
しかし、入学時の検査で遺物適正が最低ランクと判明。
劣等貴族と侮られることになるが、実技で実力の片鱗を見せていき……?
これは悪夢のような世界と、苦痛に満ちた虚構、そして闇を裂く微かな希望についての物語。
『幻想再帰のアリュージョニスト』の著者が贈る純血のハイ・ファンタジー。
【電子限定!書き下ろし特典つき】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
41
邪神の眷属に対抗する遺物を扱えない亜人を貴族が従属させる時代。千年後の世界に蘇った英雄セロトが、悪夢のような世界と苦痛に満ちた虚構を打ち破る学園ファンタジー。人格が定まらず様々な顔を見せるセロトに、勇者として期待するレイミア、救ってくれた神と崇めるアンゼリカ、弟のように扱うミード。露骨な亜人差別がはびこる学園で彼女たちもまたそれぞれ立ち位置から苦悩を抱え、対立に至ってしまう展開でしたけど、意地がぶつかり合う状況でようやく気づいた切なる願いがあって、そんな窮地を乗り越えた結末にはぐっと来るものがありました。2021/06/25
まっさん
24
★★★ 読了するのにここまで体力を使わされる作品も珍しい…内容・設定・世界観は素晴らしいものだったが、シンプルに内容が複雑すぎるあまり途中から頭が痛くなってきてしまった。 物語に関してはここまで沢山の設定を一つに纏めあげる技量は流石を通り越して最早感嘆の一言。1000年前に邪神と相討つ形で眠りについた勇者を蘇らせるも、そんな彼には儚げで優しい雰囲気に満ち溢れながらもどこか自己犠牲の精神が垣間見える人格と、傲岸不遜でありながら圧倒的な実力で敵を蹂躙し、神をも自称する人格の二つを持ち合わせるといういわゆ→2021/12/30
ℳℯ
16
★★★★★ 個人的には物凄く刺さった作品。あらすじだけ見るとただの俺TUEEEなのだけど蓋を開けてみれば濃厚すぎるファンタジー作品で世界観も独特。更に主人公が多重人格っていう…イラストも最高だし終盤にかけてのヒロイン達に降りかかる悲劇が描写も相まって心に響いた。ドーパがあまり登場してこなかったのが残念だったがミードの姉堕ちで笑わせてもらったので満足。キャラそれぞれが個性的で魅力が引き立ってたしここまで話を広げて綺麗に締められるの本当に凄い。詰めすぎと言われてはいるが大満足の一冊だった。絶対に買うべき。2021/08/04
羊山羊
14
世界観構築がきらりと光るファンタジーラノベ!陰惨寄りに構築された世界の中で、差別問題や権力争いのドロドロが見事に活写される。迷宮図書館や暗闘蔓延る学園、ナイスな造形のモンスター群は魅力だけど、いかんせん主人公チームが強すぎる。強さに説得力を持たせる詳細さが欲しかった。冒頭の電車内戦闘シーンの差し込みや場面転換の巧みさなどはとても良かったので個人的にちょっと惜しかった1冊。もっと作りこみが欲しかったけど、そんなことしたら1冊じゃ終わらんよなコレ…ともにょる1冊。2021/12/04
ヤギ郎
14
丁寧に物語を読み込まないと、内容を理解するのに苦労する。主人公は三重人格(多重人格)であるため、ころころとキャラクターが変わる。さらに、主人公の人格の変化はヒロインの願いと連関しているところがある。本書はハイ・ファンタジーに分類されるように、物語には天使や妖精、魔人が登場する。普通の人間が天使よりも上位に位置づけられていて、種族間の差別がある。後半部分は読みにくかったので、流してしまったが、内容の濃いファンタジー小説であることは間違いない。2021/07/10