ファットガールをめぐる13の物語

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ファットガールをめぐる13の物語

  • ISBN:9784863854611

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内容説明

人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出した、注目の作家モナ・アワドのデビュー作。

宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。
インディーズ音楽とファッションをこよなく愛す主人公のエリザベス。特別な人生は望んでおらず、ただ普通にしあわせになりたいだけ。けれど高校でも大学でも、バイトをしても派遣社員となっても、結婚しても離婚しても、太っていても痩せていても、体のサイズへの意識が途絶えることはない。自分と同じ失敗をさせまいとする母親、友だちのメル、音楽を介してつながったトム、職場の女性たち……。彼らとの関係のなかで、傷つけ、傷つけられ、他者と自分を愛する方法を探してもがく。

【著者】
モナ・アワド
1978年カナダのモントリオール生まれ、ボストン在住。ブラウン大学、エディンバラ大学、デンヴァー大学で創作と英文学を学ぶ。現在はシラキューズ大学で創作を教えている。デビュー作品集『ファットガールをめぐる13の物語』に続くポップでキュートな怪作Bunny(2019年、未邦訳)は、The Ladies of Horror Fictionベスト作品賞受賞。2021年8月に第3作Alls Well が刊行予定。

加藤有佳織
慶應義塾大学文学部准教授。アメリカやカナダの文学、世界各地のカッパ(的な存在)に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)、翻訳にトミー・オレンジ『ゼアゼア』(五月書房新社、2020年)。

日野原慶
大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。「身体」「自然」「環境」「廃棄」「排泄」などに関心があり、それらにつながる現代のアメリカ小説や、ノンフィクション作品(とくに自然や環境をテーマにしたネイチャーライティングや、病や体をテーマにしたエッセイなど)を研究している。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)。

目次

宇宙にさからう時
最大のファン
全身写真
そんなことなら
わたしの嫌いなあの子
それって欲張り
母にとってのセクシーな人
Fit4U
あの子はなんでもしてくれる
フォン・ファステンバーグとわたし
カリビアン・セラピー
アディション・エル
海のむこう

謝辞
訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

26
少女にとって太っているということは?そしてダイエットして痩せていくことはさらにどういう意味を彼女の身体に付け加えていくのか。ひとりのファットガールの人生を描いた連作短篇集。絵に描いたような劇的な不幸も幸福もなく、ただ誠実に生きて考えて生活している女性の生活を丁寧に描写して、彼女の考えていること、喋る言葉、出会う運命を物語として提示する。この光景を、私もどこかで見たことがある。更衣室で、自分の部屋で、友人との会話で。そう思わせたならこういう物語は間違いがない。これは間違いがない一冊でした。おすすめ。2022/06/06

星落秋風五丈原

25
なんかちょっと身につまされます。なんで太っているとこんなにコンプレックスに悩まされないといけないのか。そしてヒロインちゃんと痩せるのにそれでも幸せになれない。2024/07/06

kana

20
居心地が悪い。ずっとエリザベスがこちらを見てきて、私の身体をジャッジしているような感覚。食事をする時も、試着室にいる時も、セックスをする時も、母と話している時も、友達と遊んでいる時も、ネイルをしている時も、彼女は自分の身体を忘れない。嫌でも自分の身体を意識させられる小説であった。2022/08/03

ズー

18
10代の頃、今より10キロ多かった私なので、すごくエリザベスのさまざまな気持ちが分かった。たしかに体と心って1番身近な他人のようなもので、よほど自分の体型に満足してる人はいないんじゃないか。痩せていても太っていても、それが幸せと直結はしないということ。エリザベスの体型から発信された、日常のあれこれ。語り口はアメリカンなポップな感じで読みやすい。美意識高い人特有の嫌な目線がすごく感じられて、それがわかるーと思いながらも、ヒリヒリしつつ楽しんで読めた。2021/06/24

イシカミハサミ

15
“ファットガール”をめぐる短編集。 いつか書評家の三宅香帆さんがおすすめしていたので読んでみた。 中にはちゃんと読めたな、と感じるエピソードもあったけれど、 全体的にはぼんやりとしかつかめた感じがしなかった。 もともと翻訳本がどうしても原文とニュアンスが変わってしまう気がして 苦手ということもある。 何よりつらかったのは登場人物たちが全員何文字かのカタカナの並びとしか読めなかったこと。 文章は綿矢りさの雰囲気。 翻訳本とカタカナに強くないと読みにくいかも。2023/04/05

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