河出文庫<br> ロード・ジム

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河出文庫
ロード・ジム

  • ISBN:9784309467283

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内容説明

東洋の港で船長番として働く男を暗い過去が追う。流れ着いたスマトラで指導者として崇められるジムは何を見るのか。『闇の奥』のコンラッドが人間の尊厳を描いた海洋冒険小説の最高傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

270
フォークナーや村上春樹ら名だたる作家たちがこの作品を高く評価しているようだ。そうしたプロの作家たちが感じる独特の面白さがあるのだろう。しかし、この小説を前にした時、私にはある種の難解さとためらいが付き纏う。思想的な難解さとは明らかに違う。それはフォークナーの作品に感じるような種類の難解さだろうか。例えば語りの問題。最初は客観体で語り始められるのだが、途中からはマーロウを介することになる。そのマーロウは、ジムに信頼を置いているのだが、私たち読者にはかえってジムの存在が遠くなる。また、モデルがあったとはいえ⇒2024/11/17

A.T

27
最近読む小説はさまざまあるが、ほぼこの感じだ…人生に意味はない、ただ死ぬまで生きる…と。本国イングランドから遠く離れたアジアの極南、スマトラ島の奥地にたどり着いたジム。ヨーロッパ各地からの食い詰め者が、スマトラの奥地でジムに寄ってたかる。戦いの意味をスマトラの住民には理解のしようがない。なぜなら、ジムはスマトラでイギリスにあってもすでに時代遅れな教会の教え、ヒューマニズムを貫いているのだから。汝の敵を愛せよ、なんというアナクロ、時代錯誤。巻末の翻訳者柴田元幸氏の解説がわたしの読書傾向を一言で解説してくれた2026/02/15

フリウリ

17
乗客を見殺しにした船長らの行動にうっかり乗ってしまったジム。その行動を悔やみ自ら罰しようとするジムに、救いの手を差し伸べるマーロウ。そのマーロウが、その後のジムの人生を語るという構造です。船員免許を剥奪されたジムは一つ所に落ち着くことなく、最終的にインドネシアの奥地に自分の居場所をみつけますが、この最後の部分は「闇の奥」に通底するものがあります。語りはローテンションでダラダラと続くものの、登場人物の特異な思考や行動でスピード感に変化があり、すばらしい読み応えです。1900年刊。92024/05/29

hasegawa noboru

14
一介の船乗りというか、だからこそ人間としてごくまっとうな誇りがある。自ら犯してしまったと認める過失によって失われた自己をどう再生させたか。単なる海洋冒険小説、あるいはスマトラの奥地の村にやって来て何事かなして帰る白人の(村娘とのステレオタイプな愛の形などリアリズムの観点からいえば突っ込みどころは多々ある)植民地文学の一言で片づけてしまえなくはないのだが、言葉を尽くして長々と語られる愚直なまでのロマンチスト(理想主義者)ジムの物語はそれらとは類を異にする立派なモダニズム小説なのだ。読むに疲れたが。 2021/06/12

tyfk

13
書かれた時期は『闇の奥』と『ノストローモ』の間で、両作品と共通する設定もあるけど、なぜこんなに長くなったのか、そこがよくわからない。翻訳の文章そのものは読みやすいのだけど、中間のところで、なぜ?がずっと続いて、ここらで挫折しそうになる。訳者の柴田元彦には、もっと作品の内部にふむ込んだ読みの解説を書いて欲しかったが、残念ながら文学史における位置付けの話がほとんど。各章の最後の文が独特で特徴的なのだけど、意味がとりにくくて難しい。訳文がきれいすぎるのかなとも思う。2024/04/13

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