- ホーム
- > 電子書籍
- > 絵本・児童書・YA・学習
内容説明
【対象:小学校高学年以上】
「天山の巫女ソニン」シリーズでニュー・ファンタジーの旗手としての地位を確立した菅野雪虫が、アイヌ神話をモチーフに描いた長編ビルドゥングスロマン『チポロ』。その続編『ヤイレスーホ』に続く、第三作目!
あのときの少年と少女、そして神々に、また会える!
『ヤイレスーホ』では復讐に燃える少女だったランペシカ。数年が経ち、ランペシカもチポロのあとを追う弓の名手に成長。しかし、かつて復讐の力を求めたヤイレスーホの記憶がランペシカの心に影を落としていた。
一方、チポロとイレシュの子には何か不思議な力があるようで……?
神々と人間の関係にもスポットライトを当て、人間の愛おしさ、愚かさを描き切ったアイヌファンタジー『チポロ』三部作、ここに堂々完結!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
75
前2作より更にもやもやする読後感。これは子供はどんなふうに思うんだろう?魔法や魔術が無くても、人は日々昨日の出来事を忘れていくし、自分に都合の良い形に過去を改竄していくものだと思う。それは生きていくために必要なこと、仕方ないこと。でも周りの人には過去の記憶が無く自分だけが正しい経緯を覚えているという状況は辛すぎる。誰にも相談できず一人で抱え込んで生きてきたランペシカの気持ちを思うと胸が痛いです。2021/10/23
りー
29
「チポロ」「ヤイレスーホ」に続くアイヌシリーズ、第3巻。主人公は「ヤイレスーホ」と同じくランペシカ。火山の噴火で港の商業町ノカピラが全滅する。避難民は他のコタンを頼り生活を始めるが、受け入れた人々は自分の生活を削ることに不満を持ちはじめ、避難民たちにも不安や提供される物資への不満が膨らみ、対立がおきる。ヤイレスーホがあまりに可哀想で、チポロの能天気さが癪に障りました。ランペシカがいて本当に良かった。ヤイレスーホは最期にイレシュに救われたのかな…。もやっとする終わりかたでハッピーエンドには感じませんでした。2021/10/03
まる子
14
人は上手く行っている時は神に感謝し、不幸があると神の呪い・怒りだと言う。たとえそれが自然現象であっても。ランペシカはチポロとイレシュの子・レラを守れるか⁉️ヤイレスーホが持つ石のネックレスは、彼の報酬と引き換えにレラ、ランペシカ、さらにはコタンを救う事になるのか⁉️家族を失い、チポロの家で育てられたランペシカは、自分の行く道を探り大人になっていくのだろう。ミソサザイの神、ツルの神、これまでありがとう。神や力に頼らない生き方ができますように。「生きていくことは、苦しいものだ」と。『チポロ』シリーズこれにて。2022/04/30
さよ
13
うーん…前作ほど心をつかまれなかった。最後の方がドタバタしてて、登場人物の気持ちを追いきれなかったのかな。イレシュに苛立つランペシカの気持ちはわかる。2022/10/17
エル
10
過去の記憶がないから当たり前だが、イレシュにイライラするランペシカの気持ち、分かるわ〜。何だかんだで善人すぎるんだよ。記憶を持つ者と持たない者の間で苦しむランペシカは本当に成長したね。逆にチポロはなんでああなってしまうのか。妻より子より他人に向かっていく様は呑気すぎる。そしてとことん報われないヤイレスーホ、切ない!とは言え、アイヌ神話をモチーフにしたこのシリーズ、なんだかんだ言っても面白かったし、益々アイヌに興味をかきたてられた。裏表紙のチポロ一家が可愛い。2022/03/20