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内容説明
●自制心・思いやりのある子、ない子……なぜ今、二極化? ●子どもの将来に影響を与える「発達格差」の実態とは? ●最新の発達心理学が明かす「現代の子どもたちのリアルな姿」 今、子どもたちの間に「ある格差」が生まれている。目標に向けて自分を制御する力「実行機能」や、他者を思いやる力「向社会的行動」の格差だ。これは子どもたちが、「目の前のことを優先し、今を生きる」傾向にあるか、「将来に備え、未来に向かう」傾向にあるか、幼児期から二極化する現実を示している。さらに、これらの能力が低い子どもは、将来的に健康や経済面で不利になる可能性が高く、逆に高い子どもは、有利になる可能性が高いと言う。本書では、子どもの将来に影響を与えるこれらの能力の発達に見られる格差を「発達格差」と名付け、その実態および改善策を紹介する。子育てに悩むすべての親、教育関係者、必読の書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レモン
41
中盤は専門用語が多く読みにくかったが、各章の最後にまとめがあり、さらに第9章でも全体の要約が挿入されていたのでわかりやすかった。巷で非認知能力が大事と持て囃されているが、実態は曖昧で人によって解釈が異なること。「未来に向かう」子どもより「今を生きる」子どもは貧困家庭に多く、他者との信頼関係が築けていないケースが多いこと。幼児期と成人期だけでなく青年期にも着目し言及されていることなど、興味深く読めた。特にモンテッソーリ教育の影響をみた研究にびっくり。感情をコントロールする力に差はなかったらしい。2023/12/06
ムーミン
32
「今を生きる」子どもと、「未来に向かう』子どもをキーワードに、学校現場で子どもの将来をイメージしながら今の姿に誠実に向き合う先生たちが感じている非認知能力を高める大切さ、必要性を、感覚的ではなく、多くの研究成果、データを根拠に丁寧に述べようとしていることが伝わってきました。 2022/08/12
りょうみや
23
非認知能力を今よりも未来を優先と自分よりも他者を優先する能力としているところがわかりやすい。この発達格差が経済格差にも繋がり、その根本はやっぱり親からの愛着と信頼関係。マシュマロテストの2020年版の話題もあり、試験者が信頼できるかどうかが結果に影響するというのは頷ける。格差の両端を「未来を向かう」と「今を生きる」と言い換えてどちらも環境に適応した結果の生き方として短絡的に前者が善いと言えないとしている。2022/02/09
ステビア
23
かなりの部分g factorで説明できるのではという気もするが…、子供への関わり方や環境を整えて「未来へ向かう力」を育てようという話である。2021/12/25
テツ
18
刹那的に「今を生きる」ことしか考えられないこども達はそのまま成長していくと大抵やらかす。どうしたら自分自身に確実に訪れる未来を想像して、そのために今この瞬間に小さなことをコツコツと積み重ねられる人間になれるのか。持って生まれた能力やら知能指数は関係なくて、育成環境や周囲の大人たちの姿が大きく影響する後天的なモノなんだよな。大人としてこどものためにできることは自分がしっかり丁寧に生きる姿を見せるくらいだよなあ。こどもに真似をされても困らないような姿勢で人生と対峙するしかない。2021/12/27