内容説明
家庭という閉ざされた空間のなかで、子ども虐待の背後にDVが、DVの背後には虐待が複雑に絡み合い、潜在している状況があるが、DVに曝される子どもたちは支援のはざまで置き去りにされている。本書では、DVのある家庭で起きている暴力と支配の関係性をとらえ、子どもが被るさまざまな影響を理解する。そして、子どもと母親、母子関係への包括的な援助をめざす、画期的な心理臨床アプローチを提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hallelujah
2
DVの被害者(母親)自身も、DVをみて育つこととなる子どもからしたら加害者になり得るのだと新しい視点を学んだ。 実際の子ども非行行動や事例も多くのっており勉強になった。 職員の気然とした態度、などの部分の解説があると尚良い
てくてく
2
多くの場合、夫から妻に対して行われることが多いDV,そのDVからやっとの思いで逃げ出せたと思ったら子どもの問題行動に悩まされる。それではなぜ子どもは問題行動を行うのかというと、それこそがDVの影響だったりする。DVの被害者であっても良い母親であるべきという考えが現在でも今なお根強いかもしれないが、実際にはそれは上手くいくわけではない。そこで、DVという虐待を受け、混乱している子供たちにどう寄り添っていくべきかということについて、臨床の現場から提言したもの。子どもをどう支えるかに重点が置かれている。2013/03/17
たらこ
1
包括的かつ、具体的。安全感、安心感を与えること、そして人格と行動を分けて、行動の変容をはかっていくこと等、DVへの援助に限ったことではなく、臨床の中では当たり前のことなんだけど、それを実践できているのか、自身の経験を改めて振り返った。2013/02/08