内容説明
信州にくらす猟犬と猟師に密着! 知られざるワンダフルワールドへようこそ! 盲導犬、警察犬、麻薬探知犬……。犬はいろいろいるけれど「猟犬」ってどんな犬? ペットの犬とどう違う? 猟師との間にどんな絆が? 好奇心を胸に「猟犬猟師」と山に入れば、驚きのてんこ盛り。わが家のワンコを見る目が変わるドキュメンタリー。
馳 星周氏絶賛!
「太古の時代、人と犬は狩りのパートナーだった。現代においては猟師こそがあるべき犬との姿を貫いている。そこにあるのは愛と信頼。美しい絆に心が震える」
【まえがきより】犬を使った狩猟は昔から行われていて、とりたてて珍しくもない。「一犬、二足、三鉄砲」と言われるように、狩猟では優れた相棒である犬と山を歩くことの大切さが説かれてきた。数こそ少ないが、ひとりで犬を連れて山に入る猟師もいる。でも、僕が出会った猟師はちょっと、いや、かなり変わった人なのだ。犬が好きすぎるのである。あまりにも好きだから、「そんなに必要なのか?」と思わずにいられない頭数を連れていき、かえって効率の悪い猟になることもしばしば。それでもまったく気にすることなく、日が暮れるまで家へ帰ろうとしない。そういう人をどう呼べばいいかと考えて、「猟犬猟師」と命名した。
目次
まえがき
第1部 犬がいるから狩猟をするのだ
第2部 ブラとアンズ、親になる
第3部 信州の鉄砲ぶち
第4部 山の中のハッピーエンド
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊々亭おさる
26
猟犬が獲物の存在を探知し足止めにして、猟師が銃で仕留める。人と犬との強固な信頼関係が狩猟の成果を左右する。動物としての能力を最大限に引き出してもらえる飼い主との関係は、オリンピックを目指すアスリートと名コーチのよう。正しい知識を持って愛情を注がなければ、犬の不幸に繫がるという点では猟犬もペットも同じか。とにもかくにも愛情をたっぷりと注がれている本書に登場する犬たちは確実に幸せなのだろう。害獣駆除の役割もあるが、男の趣味としての側面も強いという信州の狩猟。無駄な殺生という言葉が喉に刺さった小骨になりますが。2021/07/11
manamuse
24
東北のマタギとは違って、信州は鉄砲ぶちと言うらしい。金銭は絡まず、犬がいるから狩猟をするというスタイルの猟師に密着。経験と知識が素晴らしく、主人を喜ばせたい猟犬達との連携は見事。老犬ヨモギ、ハナとブラ&アンズ、その子カエデとモミジ。使えなくなった猟犬を山に棄てる奴もいれば、この主人は犬好きで安心して読めた。もちろん怪我はつきものだし…踏切事故はやるせない。2023/12/10
yyrn
23
狩猟には犬を連れていくものという思い込みはいつすりこまれたか?絵本?小説?ドラマ?映画?いずれでも鉄砲を担いで犬さえ連れていれば説明なしで「狩猟中」のサインになるが、しかし思いの外、犬を狩猟に使うことの難しさをこの本では教えられた。狩猟に向く犬のこと、また適性があっても毎回、飼い主の思うようには動いてくれないこと、しかしひとたび人と犬の狙いが一致して獲物を捕らえた時の達成感やその後の寒風での解体作業の弾む様子など、一人のベテラン狩猟者とその飼い犬たちの行動を通して日本の狩猟事情を色々教えてくれる本だった。2021/06/27
トムトム
20
人間さんは犬と仲良くなったから、夜も安心して眠れるし家畜も守れるし。殺処分とかしている場合じゃなくて、お犬様に感謝だと思います。同じように犬も人間と仲良くなったから安心して食べ物にありつけて、世界中に分布を広げて。お互い相手が喜んでくれたら嬉しくて!同種というか、仲間というか。里山で犬を放し飼いすれば、鹿やイノシシは畑に降りてこないと思う。2023/07/25
tetsubun1000mg
15
北尾トロ氏が猟犬と散歩する思って選ぶが、猟犬と一緒に猟をする猟師をルポした本でした。そういえば、トロ氏の「猟師になる」という本を読んだことを思い出した。違った!「猟師になりたい」でした。 4頭の猟犬と暮らし猟をする様子をルポしている。獲物を捕ることよりも猟犬との連携がうまくいった時が一番うれしいらしい。いつも獲物が捕れるわけではないが、犬と猟をするために山を走り、歩き回ることが楽しいということが伝わってくる。脱力系ライターの印象があったトロ氏だったがもう還暦になったのか。2021/07/11