内容説明
かつて鉄道は、地方に近代化をもたらしてくれるものだった。「我田引鉄」と呼ばれようとも、政治家は血眼になって自らの票田に鉄道を引き込んだ。不自然な路線や駅の配置が各地に見られるのはその結果でもある。だが、鉄道を国に強請る時代は終わった。国と地方との関係が変わった今、リニア、都市交通などの整備はどうあるべきか。明治以来の政治家・政党と交通政策の変遷を概説し、これからを展望する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nishiyan
16
明治以来の政治家・政党と鉄道を軸とした交通政策の変遷を概説し、これからの交通インフラの在り方を展望した新書。国と地方の力関係が変わったことで、その手法や意味合いが変化していったのは興味深い。明治から一貫して地域近代化の象徴であった鉄道誘致。幹線鉄道整備からローカル線へと広がっていく過程で国の財政悪化が影を落とす。九州新幹線と中央リニアは地方の要望から事業化されたはずが、迷惑なものとなったのに対して、富山などの動きは地方での独自の取り組みである。今後もこうした動きは強まるのか、注意していきたい。2021/05/07
ごん
8
明治以来の鉄道と政治の関係についての著作です。決して読みやすくはない本ですけど知識を得るにはやむを得ないところですね。岐阜羽島駅に建っている大野伴睦の銅像を見てこの人が岐阜羽島駅を作らせた人かと思ってましたがどうやら真相は違うのですね。鉄道と政治のつながりも明治から令和まで変わってきています。人口が減少するこれから日本では地方の政治と鉄道の関係が重要になりそうです。本を読んでそんな事を思いました。2024/02/10
Mealla0v0
8
冒頭に鉄道の現代的問題に触れ、その後明治以来の政治史に言及し、最後には新たな可能性に触れている。表題の通り、鉄道はかなり政治的な問題であることがよくわかる。産業化、軍事化といった国家的政治問題に加え、地方に鉄道を敷設することで行われる利益誘導の在り方、中央集権が崩れるにつれ、地方の自立に向けて新たなコミュニティの構想の賭け金ともなる。特に、選挙の地盤として戦前は資本家(鉄道所有者)、戦後は大衆(鉄道利用者)という変化によって鉄道政策が変化している点は興味深い。鉄道に限らず、道路行政についても勉強したい。2021/08/23
onepei
6
この路線にあの人の影2021/05/28
本命@ふまにたす
4
近現代の日本における鉄道と政治の関係について、豊富な事例を取り上げて開発。歴史をたどる通史的な部分が中核だが、様々なトピックを取り上げている印象。その点役に立ちそうだが、紙幅の関係かやや記述があっさりしている感じもありそう。2022/08/21
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