内容説明
★あなたの居場所は、ここにある。
「だれでもどうぞ」と、こども食堂はつくられた。赤ちゃんから小・中学生、高校生、大学生。子育て中の親はもちろん、お爺ちゃんもお祖母ちゃんもどうぞ。子どもたちは、お腹がすいたという理由で立ち寄れる。大人たちにはご飯以外に、ちょっとずつ「役割」もあるし、「子どもたちのため」という「言い訳」も用意してある。だから、誰でも気楽に立ち寄れて、人とつながることができるのだ。柵が苦手な現代人にも無理がない新しい多世代交流拠点。きっと、失われた縁を紡ぎなおすことができるはずだ。人々の生きづらさを和らげ、孤立と孤独を防ぎ、誰一人取りこぼさない社会をつくるための可能性を、こども食堂は秘めている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
71
こども食堂。読んで、認識を新たにしたと言うか、クリアになった。書かれているとおり、少し、理解できていないところがあった。短期間に全国で一気に増えたこと。それ自体が一つの答えになっている。行政・政治屋に頼ることは、到底できない、今の時代の要請でもあるのだろう。ただ、それは、ある意味では哀しむべきことではある。今の社会状況を考えるお、世代を超えた、人の営みを再生する仕組みだと理解。そこで、考えることは、自分に何ができるか。2021/08/09
さく
35
こども食堂、というと、貧困家庭の子どもにごはんを食べさせてくれるところ、というイメージがあったが、そのイメージが覆された。子どもから老人まで、収入が多くても少なくても、誰でも来ていいところ。地域の人たちと繋がれるところ。誰でも受け入れてもらえるからこそ「赤信号」ほどは困っていない「黄信号」の子どもが「青信号」の子どもに混ざって食堂に行ける。だけど、敏感な食堂の人は「黄信号」であることに気づき、さりげなくお節介をやける。すごい場所だな、こども食堂!コロナ渦でもこども食堂を運営しようとする人たちを応援したい。2022/01/05
ヒラP@ehon.gohon
34
いくつかのこども食堂で紙芝居を演じながら、それぞれのこども食堂の個性を感じながら、こども食堂って何だろうと思い続けている自分に、腑に落ちる図書でした。 かつて「貧困者のための慈善」のように捉えられていた「こども食堂」は、地域の連帯の場所となり、多様化の中でコミュニティを築こうとしています。 そして、次第にネットワークを結び、成長を続けています。 それは、核家族化が進み、個人優先化が進み、孤立化してきたひとたちが、改めて気づいた共生社会の必要性の証明のように思えます。 2024/02/08
pirokichi
27
誤解していた。「こども食堂」は、貧困の子ども達だけのものだと思っていたが、無縁社会・日本でつながりを取り戻そうとして営まれていたものだったとは。正に以前読んだ藤原辰史さんの「縁食」だ。誰でもOK、なのになぜ「こども食堂」なのかには、成程。「歩くのがゆっくりな人と一緒に歩くために、ちょっとゆっくり歩くこと。それがインクルージョン=配慮だ。多様性に配慮が加わって初めて、多様性の良い側面が開花する」多様性やSDGsについて書かれた終章は特に考えさせられた。災害のたびに増えて行くこども食堂。近所にもあるかしら…。2021/07/20
空のかなた
24
良書。2011年の東日本大震災の翌年に最初のこども食堂が1ケ所誕生し、2016年の熊本大震災で319ケ所に増える。コロナを含めた災害のたびに増えてきた。税金を投入する行政は年齢や所得等、対象を区分けしなければならないという制度的限界がある。家族や近隣等との縁が途切れている無縁社会である現在は、そういった区分けによる「制度の狭間」に支援が必要な人が居る。コロナで締めざるを得なくなったこども食堂に「株式会社ほぼ日」や小児科医藤岡雅司氏等の智慧と支援があり、また一歩共生社会へと再生していくプロセスからも学びが。2024/06/14