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内容説明
心臓の鼓動のリズムで光る古い灯台,愛するひとを忘れさせる力を持つ幽霊ナイフ,姫ぎみに恋した吟遊詩人がいどむ怪物…….『王への手紙』のトンケ・ドラフトが,ふしぎな味わいのおとぎ話をつむぎました.夢や魔法,現実と過去がたくみに織りこまれた6編.想像をこえるユニークな展開に,思わずひきこまれます.
目次
幽霊ナイフ┴二人の王┴十三番目の妖精┴夢にすぎない┴ドラゴンと鍵┴踊る光┴訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小夜風
24
【図書館】童話風なファンタジーの短編集。「いばら姫」に出てくる十三番目の妖精のお話もあります。「夢にすぎない」というフレーズが真似したくなりました。どんなに壮大な冒険物語も悪夢も「夢にすぎない」という言葉で霧散する感じが面白く、この本を読んでいること自体が夢にすぎないのかもって思いました。みやこしあきこさんの挿し絵も良かったです。2015/08/01
ここまま
23
お城に住むお姫様と、王子様。おとぎ話は独特の型があり、困難の後には必ずハッピーエンドで終わる。だから、安心して物語の世界に身を委ねることができるのです。自分の物語好きの根っこには、お姫様と王子様のこんな物語が詰まってたと、改めて感じました。楽しかった!2015/04/23
バニラ風味
22
地元出身の宮越暁子さんの絵に魅かれて。幽霊ナイフ、ドラゴンと鍵、踊る光など上質な6つの短編が収められています。十三番目の妖精は、タイトルから想像する通り、眠り姫で招かれなかった妖精の側から描かれたお話。他の話にも、話していけない正夢の話や、もちろん姫ぎみや騎士、小人、吟遊詩人なども登場します。読んでいる間は、まるで別世界を垣間見ているような気分。しばし、現実を離れて、不思議な世界にいってみるのも良いですね。この作家さんの他の作品も読んでみたくなりました。2016/03/11
星落秋風五丈原
17
オランダの女王に贈った童話も含めた作品を収録。‘夢にすぎない’はギリシャ神話のオイディプスを彷彿とさせた。‘二人の王子’は何だか物悲しい。ラストの踊る光は微笑ましい。2015/03/23
鳩羽
7
王子や姫ぎみ、吟遊詩人といったおとぎ話の枠の中にありながら、現代的な理性や皮肉、工夫といった味付けが活かされている短編集。生身の人間らしさを感じさせる王子や、どこか物悲しさを背負った物語の語り手たちが魅力的。「幽霊ナイフ」にしても「夢にすぎない」にしても、語り手が一方的に語っているという形でありながら、別の視点が静かに立ち上がってくるような、そんな不思議な感覚があった。2015/04/25