STAMP BOOKS<br> わたしはイザベル

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STAMP BOOKS
わたしはイザベル

  • ISBN:9784001164138

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内容説明

イザベルは母親からいつも「うそつき」だと言われ,虐げられてきた.成長してからも自分が正しく振る舞っているのかわからない.生きるための苦闘を続けるイザベルがやがて見出したのは,両親から否定されつづけた言葉の才能だった.繊細な心理描写をまじえ,ティーンエイジャーの自立と「毒親」からの決別を描く成長小説.

目次

誕生日プレゼント┴にせの偶像と火の玉┴御恵みとおさがり┴ガラスとその他の壊れやすいもの┴アイ・フォー・イザベル┴訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

42
編集者が「実の子供にこれほどつらく当たる母親がいるはずがない」と一度は刊行を取りやめたいわくつき。確かに親は、とりわけ母親は子供に優しいもので、それが当然と思われている。しかし著者自身も小説のヒロイン、イザベル・キャラハンと同じに、実の両親から毎年「今度の誕生日は、プレゼントはありませんよ!」と言われたそうだ。‘当然’はありえない。たとえ家族の間でも。せめて嫌う‘理由’があれば良かった。ところが母親は一切理由を言わず、時と場合を選ばず悪意をぶつけてくる。萩尾望都の漫画『イグアナの娘』のようだ。2017/05/21

テツ

28
機能不全の家族。自らを否定しかしなかった母親。傷つけられ愛されなかった幼少期を過ごした少女イザベルは成長しても自らが愛されているということを信じられない。母親が亡くなり全てから解放されたかのように見えても呪縛は長い間イザベルを苦しめる。自分の心の奥深くに刺さった棘は自分で抜くしかない。自分のせいでついた傷でないのにその傷は自分で癒さなければならない。僕自身もわりと壊れた家庭で生まれ育ったので他人事じゃなかった。叶わぬ願いなのは百も承知だけれど全てのこどもが愛される世界になれば良いなと心から思う。2017/03/01

タカラ~ム

24
『毒親』という言葉がある。子どもに厳しかったり過干渉だったり、逆に自分を優先して子どもに無関心だったりする親のことだ。本書の主人公イザベルの母親は毒親である。母親は自らのコンプレックスや嫉妬から娘たちに厳しく接する。イザベルの唯一の逃げ場は読書だった。やがてそれが、彼女を毒親の軛から逃れさせ、自分の存在価値を取り戻す糧となる。親に愛されて育つことが子どもの幸せであるのは当たり前だが、毒親にあたってしまう子どももいる。本を読むこと、言葉を紡ぐことが、ささやかな癒やしになることを感じさせられた。2019/07/14

鳩羽

14
誕生日のプレゼントを、姉は貰えるのにイザベルは貰えない。貧しさを理由とする情緒不安定な母親への生贄のように、理不尽なことで叱られるイザベル。本や空想の世界へ没頭すれば、本当の嘘の違いが曖昧に感じられ、自分が欠陥のある人間のように思えてくるのだった。…今でこそ、親だからといって正しい訳でも、必ず愛してくれる訳でもないことが知れ渡っているが、当時にしたら衝撃的な内容だっただろう。そのイザベルの少女から娘時代が飛び飛びに語られる小説で、赦しとやり直しを求めるイザベルの姿に静かに心打たれる。2017/01/08

不在証明

11
親が正しいと言ったから疑いなく正しいことなのだと認識していた間違ったこともあるわけで、往々にしてそれは親自身の感情的な決めつけに因ることも多く、客観的視点を得てしまえばなんだそれはと呆れてしまう真実。それが子供を苦しめる。思うまま行動すれば叱責を喰らい、失笑の対象となり身動きがとれず、わたしがわからないということを人々はわからない。生き方の不文律が解れば実践するのに、誰もかれも顔を背ける。それでもイザベルは考え続ける。彼女の望む「個室のような人生」。きっとその部屋のドアは閉ざされていない、窓もついてる。2017/10/09

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