内容説明
2000年12月,一家4人が殺害された「世田谷事件」.突然,妹一家を失った著者は,絶望のどん底に突き落とされる.周囲の偏見,心ない報道,愛する家族を助けられなかった自責の思い…….深い悲しみに向き合うなかで,どのように生きる意味をつかんだのか.つらく,悲しい思いを抱えるあなたへ送る希望のメッセージ.
目次
はじめに 悲しみに向き合うこと┴第1章 奪われた命┴第2章 事件のあとに 遺族の悲しみと苦しみ┴第3章 悲しみからの回復 「私の物語」を求めて┴第4章 悲しみの共感へ 夫,息子,母それぞれの思い┴第5章 再びの悲しみ 事件から一〇年目に┴第6章 喪失が与えてくれるもの┴第7章 答えのない問いに向き合う┴おわりに ジョバンニの切符
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
25
ジュニア新書ではあるが、大人がもっと読むべきだと思う。被害者遺族となって、じぶんからは想像もできない環境に、長い間、置かれるということ。それは、外部からのものも、とても多い。また、自分自身の内的なことも、とても大きなものがあることを知った。時間が解決するという、生易しいものではないことが、感じられる。もちろん、本を読ませていただいたくらいでは、とうていはかり知ることのできない部分もある。ここから、学ぶべきことは、限りなく広い。2016/06/09
豆ぽち
24
「自分だけがこんなに悲しい目に遭っている」と思い続けていると、「緑にがきれいだな」とか「風が気持ちいいな」とか、本来の自分が感じるべき「今」を感じられなくなってしまいます。日常の中にちょっとした楽しみを求めていくことが大切なのです。心の底からは楽しめないかもしれませんが、日常を取り戻す努力をすることに意味があるのです。それは、悲しみに蓋をしたり、悲しみから目をそらすことではありません。悲しみに向き合うためにも、自然な感情を取り戻すことが大切なのです。/存在しないものの存在を想像する力、2018/06/02
zel
18
仕事に関わる本として手にとったけれど。自分の今までを思い出しながら読んだ。とても悲しかったときのこと、どうにもならなかったときのこと、そして、学びたかった教授の名前や今の仕事に関わる詩も出てきて、なんだかとても近くに感じながら読んだ。もちろん全てが全て同感ではないし、ほんとに辛いときに読んだら感じ方も違ったかもしれないし、けれど、読んで良かったと思える作品。タイミングや相手にもよるけれど、おすすめしたい一冊かも。 聴ける人になりたい。2020/09/03
マカロニ マカロン
16
個人の感想です:B+。今日から19年前の2000年12月31日(20世紀最後の日)未明に世田谷区上祖師谷三丁目で起きた世田谷一家殺害事件。著者は被害者一家の当時41歳の母親のお姉さん。ペンネームののirie annは一家の二人の子どもniinaちゃんとreiくんのアナグラムとのこと。犯罪被害者家族、遺族への言われない中傷が世間には渦巻いていて、現に著者の名前をネット検索すると悪意にあふれた書き込み次々とヒットしてくる。犯罪被害者・家族・遺族を支え寄り添う活動(グリーフケア)の大切さを強く感じた。2019/12/31
ちほ(さくら里BookCafe読書会)
12
著者は世田谷事件被害者の姉の入江杏さん 「悲しみに目を背け悲しむことを忌避する社会は実は生きることを大切にしない社会ではないか」事件後の入江さん一家の悲しみと心の葛藤が大河ドラマのように描かれ涙… 入江さんの思いは平野啓一郎『本心』の主人公と重なりました。 入江杏さんは前回のさくら里BookCafe読書会に一般参加して下さったのがきっかけで読みました。お話しできて嬉しかったです。 入江杏さんは、平野啓一郎と交流があるとお聞きして思った感想です。2021/07/22
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