内容説明
足尾銅山の鉱毒で甚大な被害を受け、反対運動の急先鋒となっていた谷中村は、絶体絶命の危機にあった。
銅山の資本家と結託した政府が、村の土地を買収し、遊水地として沈めようとしていたのだ。
反対運動の指導者、田中正造は、村を守るため、政治権力に法廷での対決を挑む。
だが、それは果てしなく、苦難に満ちた闘いだった。
日本最初の公害闘争を巡り、権力の横暴に不撓不屈の精神で立ち向かった人々を描いた伝記文学の傑作。
解説・魚住昭
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
125
ここに描かれている『人物』が「好きな歴史上の人物」である私は、「ロマンがない女」であろうか?自称『現実的』な自分は、『ロマン』や『英雄』と言う言葉よりも、『実績』・やはり『現実』に目を向けてしまうのである。『小説』気分で手に取ったが、どちらかと言うと、著者が、田中の腹心に話を聞き、それを『ルポルタージュ』式で綴っている。中身は、田中の生死を境目とした二部構成。古河市兵衛の開拓から始まった『足尾鉱毒事件』。『殖産興業』の流れの中で、『富』と共に、沢山の『膿』も流した。2022/08/26
どぶねずみ
30
先日わたらせ渓谷鉄道の車窓から眺めた足尾の美しい景色からは想像できない大正時代の話。異様にそびえ立つ煙突を見て、もしやと思って田中正造さんのことを調べ始めたところ。本書で描かれていることは、なぜ国会議員を辞職してまで谷中村の人々を守ろうとしたのか。自分の安定した生活を手放すことにどれだけの意味があったのか。ただ、中盤で田中さんが亡くなってしまったので、それからはずっとそばにいた宗三と県との戦いになる。涙が出るほどの辛い戦いだったが、もう少し詳しい書物を探してみたい。2025/05/08
金吾
28
足尾銅山に訪れる前によんで以来、久しぶりに読みました。城山さんは田中正造を英雄として表現せずに信念を持った人間として書いているように感じました。第2部も含め、既得権益を打破することの困難さを痛感します。2023/10/13
あきあかね
26
「辛酸を神の恩寵と見、それに耐えることによろこびを感じたのか。それとも、佳境は辛酸を重ねた彼岸にこそあるというのか。あるいは、自他ともに破滅に巻きこむことに、破壊を好む人間の底深い欲望の満足があるというのだろうか。 正造がそのいずれを意味したのか、そのすべてをも意味したのか、知る由もない。」 『辛酸』という重々しい表題が軽く思えるくらい、本書で描かれる苦難は凄絶だった。足尾銅山の鉱毒に反対する田中正造をはじめ谷中村の人びとは行政と企業によって塗炭の苦しみを味わうことになる。土を食ってでもと言う⇒2021/10/03
カツ
8
まいったなぁ、というのが正直な感想。そもそもの足尾鉱毒事件・谷中村問題についての顛末が書かれていないので事件そのものをよく知らない自分にとっては、いきなり下巻もしくは続編を読まされている様でもやもやしながら話は進む。田中正造についても半分程で終わってしまい、いい話ではあるのだが消化不良な一冊でした。2025/04/03
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